オーガニックコットンをシンプル&フェミニンに仕上げて日本でも注目〜「Hannah Nicole Beaumont」

A Picture of $name HITOMI ITO 2012. 6. 4

オーガニックコットンが基本、とオーガニックにこだわった「Beaumont ORGANIC」。ピュアでフェミニンでありながら真の強さを感じるコレクションは、とってもファッションコンシャス。その「Beaumont ORGANIC」のデザイナーのHannah Nicole(ハンナ・ニコル)さんが来日。バックグラウンドから今後の展望まで広くお話を伺いました。

―― エシカルファッションはイギリスが発祥の地といわれますが、イギリスでのエシカルファッションの様子について教えてください。
いくつかしっかりとしたストーリーで消費者に訴えているブランドが出てきてからは、徐々に浸透しているように思うわ。「People Tree」が最近いろんなコラボレーションを行なっているから、大手百貨店でも取り扱いをしているの。あとは、アメリカの「Stewart+Brown」や、「EDUN」といったブランドが人気で、エシカルの認知度を高めているわ。他にも、小さいながらも良いブランドがたくさん出てきたの。「Outsider」や、「Ciel」が人気。ただエシカルなものづくりをしているってだけではなくて、アイデンティティとなる強いストーリーを持つブランドが成長しているわ。

2012AWの最新コレクションより

―― なぜ、エシカルなブランドを始めようと思ったのでしょう?
最初に自分のブランドを作ろうと思ったときに、ほかのブランドと差別化となるポイントを探っていたの。ちょうどそのとき、働いていたMonsoon(※日本でもAccessorizeなどを展開する同社は、エシカルファッションにも取り組むことで有名。LFWのエシカル部門「Esthetica」のスポンサーも務める)が、エシカルについてのリサーチを始めたのよ。それで、エシカルは十分勝機を見いだせるポイントがあると思ったの。意味のある物づくりをしたかったし。

―― あなた自身はふだんどこで服を買いますか?
イギリスにいる間はぜんぜん買わないで、海外で買うことが多いわ。今日着ているこのパンツも渋谷のヴィンテージショップ「Birthdeath」で買ったのよ。ポルトガルでは気に入っているショップがあって、「Bimba&lola」と「Uterque」という2つでよく買うわ。イギリスではなかなか好きなお店を見つけられていないのだけれど、いまも住んでいるマンチェスターだとThomas Streetに行くの。イギリスはハイストリート・ショップがたくさんあるし、ファストファッションを推し進める圧力も強いわ。でもハイストリートも嫌いじゃないのよ。それらと付き合うバランスが重要なんじゃないかしら。私はミックスして着ているわ。

―― 1年ほどフィジーで教師をしていたそうですね。そのときの話を聞かせてください。
ギャップイヤーを活用してから大学に行くことにしたの。2002年のことよ。その1年間は、今まで全くやったことのないことに挑戦しようと思っていたの。フィジーでは、小学生に算数を教えていたんだけど、1クラスに10~16歳くらいの幅広い年齢の子がいたわ。でも16歳といってもかなり幼く見えるのよ。14〜16歳の子に私が教えていたのも、基本的な割り算というレベルだったしね。

―― もともと貧困問題や、教育問題なんかに興味があったのでしょうか?
教育の問題がどれほど深刻なものかは、行くまでは知らなかった。フィジーはそもそも国が貧しくて、子どもは大切な働き手だから、多くの親は子どもに学校に行かせたがらないのよ。なぜ学校に行く必要があるのか分からないようなの。何度も校長と一緒に子どもたちの家を訪ねて学校に来るように説得したこともあるけれど、聞く耳持たず。親の影響もあって、子どもたちも学校に行きたくないって言うの。子どもにはっきり言われたわ、「学校に行きたくない」って。外にいるほうがいい、勉強や試験をしなきゃいけないのは嫌だって言うの。勉強をしたいって気持ちがあれば、いくらか問題は簡単になるんだけどね。もちろん、勉強をしたいっていう子もいるのよ。1人、島を離れて大学に行った女の子を知っているわ。

2012AWの最新コレクションより

―― Beaumont Foundationを立ち上げ、子どもの支援を行っているそうですね。
年間の売上の1%を私が勤務したTaveuni県のNiusawa Schoolという小学校に寄付していて、ペンやノート、制服の購入や、通学費にするために使われているの。ロータリークラブを通じて、個別の子どもの就学支援もしているんだけど、将来的にはもっと多くの子どもたちを支援していきたいわ。

―― フィジーのどんなところが好きですか?
みんなハッピーに過ごしているところかしら。誰もあなたをなんだかんだと決めつけたりしないし、完全に孤立した場所だから、情報に埋もれることもないのよ。ラジオはあるけど、私が住まわせてもらっていた家には電気もなかった。
だから世界で何が起こっているのか、まるで知る術もないの。街の中心部に行けば、インターネットが使えるけど、私はそれも家族や友人とちょっと連絡を取るために使っていて、BBCも見なかったわ。とにかく情報がないから、自分たちが何を持っていないのかも分からない。薄型テレビなんて存在も知らないの。だから、自分が今持っているものだけで十分だと思えるのよ。

―― ブランドを始めて大変だったことは何でしょう?
最初、「Beaumont Organic」がラグジュアリーなコレクションだと認めてもらえなかったことが大変だったわ。オーガニックとかエシカルなものは着心地が良くない、ラグジュアリーじゃないっていう先入観があって、オーガニックって聞くだけで敬遠する人もまだまだ少なくないのよ。そういう人にはとにかく商品を送って直接見てもらうようにしているの。一度見てもらうと、理解してもらえるわ。

大きな店舗でも「うちはすでにオーガニックコットンのブランドを1つ取り扱っているから」って門前払いをくらうこともあるわ。同じオーガニックコットンでもテイストやスタイルがぜんぜん違うのに、オーガニックコットンという一括りで見ているようなの。

そういう「偏見」をなくすという意味では、「H&M」の取り組み(※Conscious Collectionなどでオーガニックコットンやリサイクル素材を使用するなど、同社はエシカルなファストアパレルとして取り組みを続けているが、はたして本当にエシカルと言えるのかどうか、と議論の的にもなっている。2012年時点)などは評価しているのよ。オーガニックコットンのブランドでも、いろんなスタイルがあるんだってことを大々的にアピールしてくれているから。

2012AWの最新コレクションより

―― あなたのブランドの成功の鍵となったのはなんだったのでしょう?
Natural and Organic Awards 2008の受賞は、本当に良いきっかけになった。あの受賞を見て、サプライヤーからテキスタイルを卸したいという依頼から、ブランドの取り扱いまで、たくさんの依頼をいただくことができたのよ。今後は、ウェブサイトをもっと充実させて、ファンや業者ともっと交流するプラットフォームにしていきたいと思っているの。それでもっと展開する国を増やしていきたいわ。

―― 最後に、ブランドとして今後の展望などを聞かせてください。
近々メンズを発表する予定よ。また、ベッドリネンやバスグッズなどのホームアクセサリーも手がけ、トータルライフスタイルブランドとして幅を広げていくつもり。アイテムの幅を広げていく中もブランドの根幹にある信念は変えずに、視野を広く持っていきたいわ!

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