世界の多くの人が少なくとも1着は持っているであろうデニムジーンズ。カリフォルニア・ゴールドラッシュの時代直後くらいの頃に発明されたものですが、その生みの親・Levi Straussが炭鉱で働く人のために作り出したのが現在の原型となっているそうです。毎年アメリカだけで4億5000万着が生産され、世界のデニムジーンズの市場規模は400億ドルに上るそう。
大量消費・大量生産の時代の象徴ともいえるハイストリートブランドのデニムですが、それゆえ、バングラデシュなどのスウェットショップなどで作られているイメージを持つ人もいるのではないでしょうか。確かに、アメリカでも厳しい環境で手仕事でコットン農業に従事し、健康を害する人々もいます。しかし、今回紹介されている農場・工場はかなりハイテク。どんな企業がどこでどのように生産をしているのか。同じ企業によっても、製品によって依頼する工場なども違うでしょう。同じ製品でも、いろんな部分・側面があるようですね。
1. コットンの収穫~精製
舞台は、メキシコ・トレオンのコットン農場。
一つ一つ手で収穫するのは非常に苦しい作業ですが、裕福な農場ではこ機械でざっくり刈り取ります。
手作業だと、1日50キロほどの収穫量。このコットン刈り取り機を使用すると、5分で50キロ刈り取れるそう。こちらが刈り取ってまとめた状態。
まだこの中には500キロの種、100キロの葉っぱなどが混入しています。コットン繊維はこのうち400キロほど。これを精製します。コットンからゴミを取り除く機械は1950年製のヴィンテージなマシン。この工程が終わると、かなり真っ白。埃まみれで空気が悪い段階だそうです。マスクをしていますが、その他の健康管理はどのようにしているのでしょうか。
2. デニム生地を作る
次は、デニム生地を作る段階。コットンの素材をよ~く混ぜて、一定の品質に整え、さらにゴミをより分けます。
その次に、太い太いひも状に整え、それから糸にします。
糸にしたら染めます。しかし、青色に染めるのではありません。まずは硫化水素ナトリウムで黄色に染めます。空気に触れると青色に変化するそう。
排水はどのように処理しているのでしょうか?それも併せて見てみたかったです。さらにコーンスターチなどで堅牢度を上げて乾燥させれば、糸として完成です。
糸ができたら生地に織り上げます。全て青色の糸を使用すると、青々すぎるので、白の糸と交織です。青・3本に対し、白・1本の割合。
3. デニムを縫う
テワカンにある最大の工場でデニムに縫われます。まずはパターン作り。コンピューターでパーツの配置を決めていきます。無駄を7%という最小限まで抑えます。
機械でパターンを引いた後、一気に切り抜いていきます。少しの誤差も許されない段階。
15分で1着縫い上げるお針子さん。1着に使用するデニム生地の量は1.6メートル。
アイロン担当のメアリーさん。ここでの仕事は他の工場と違って「圧力」をかけられないから好きよ、と話します。1日に300着もアイロンをかけるそう。一日にどのくらいの賃金で働いているのでしょう?
4. デニムを加工する
いまの時代、誰もでき立てほやほやな感じのデニムは履きません。ちょっと着古した感じのダメージ感が重要です。そんな加工もここで行います。空気で膨らませて、ヤスリをかけたり(1時間かかるそう)、レーザーで跡をつけたり。最後に火山岩とともに洗いにかけ、ナチュラルなダメージを与えて終了です。
最後の仕上げに簡単にアイロンをかけ、タグを付けます。高いデザイナーものも、チープなハイストリートブランドのものもタグ1枚。この写真で取り付けているのは、LAセレブのご愛用「Hipster」ですね。
いかがでしたか? 中国の工場でも機械化が進んでいるところはこんな感じです。いろいろな工場がありますが、同じ工場でもタグ1つで値段が変わってしまうというのも考えどころ。「ブランド」の意味も考えさせられますね。
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