フランス国内外のプリント生地のアーカイブスを約600万点所蔵し、ヨーロッパのラグジュアリー・ブランドがデザインソースとして活用する美術館として知られる「ミュルーズ染織美術館(Musee de l’Impression sur Etoffes de Mulhouse)」。
ミュルーズ染織美術館のデザインを用いたアイテムが、相次いで販売されている。
同美術館には、室内装飾・服飾のデザイン画や染色見本を中心に、欧州だけでなく世界中の染色資料が収蔵されている。そのコレクションの豊富さ、質の高さは世界に類を見ないプリントの美術館として高く評価されており、ヨーロッパの著名なオートクチュールメゾンをはじめ、世界中のクリエイターたちがこの美術館を訪れ、新たなデザインのインスピレーションを得ている。
その最大の特徴は、柄が自在にアレンジ可能であること。アレンジしたプリント柄は美術館に再び収蔵され、新たなアーカイブスの一部になる。歴史的に価値あるデザインを現代によみがえらせ、再び美術館に還る −−これこそが美術館のアイデンティティーとなっている。
いま、その波が日本にも押し寄せており、多くの日本のブランドがミュルーズ染織美術館にインスピレーションを受けている。日本のデザイナーたちがそれぞれ、受け継がれてきたデザインに新たな息を吹き込んでいるのだ。
美術館のアーカイブを利用したデザイナーたちは、次のように振り返る。
(ミュルーズ染織美術館の存在は)知らなかった。歴史が奥深く、見たこともない色合いや柄がたくさんあって、とても素敵だと思った。『rienda』では作成したことない柄を服に落とし込めるという魅力と、さらに柄が自在にアレンジ可能であり、その柄が収蔵されるというアイデンティティに共感した。ぜひまたコラボしたい。(「rienda(株式会社バロックジャパンリミテッド)」デザイナー)
展示会で紹介していただいて初めて知りました。ほかにないヴィンテージ感と色合い、繊細な柄の感じがとても素敵で、柄の豊富さも魅力に感じました。ぜひ、実際に訪ねてみたいです!(「OPAQUE.CLIP」バイヤー)
今回のデザインも、各社それぞれのスパイスを加えたものが、再びミュルーズ染織美術館に収蔵される。
時と場所を越えて、人から人へ受け継がれるプリントの歴史。「温故知新」を楽しみたい。
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