バリー・コスキー演出による全く新しい英国ロイヤル・オペラ『カルメン』上映

2018. 4. 26

2018年5月11日(金)より、英国ロイヤル・オペラ・ハウスの人気公演『カルメン』の舞台映像が順次上映。今回の『カルメン』は、オーストラリア出身の人気演出家バリー・コスキーによる斬新な演出が光る。

ドン・ホセは恋人がいるにもかかわらず、奔放な魅力に満ちた自由で美しいカルメンを愛してしまう。全てを捨ててカルメンを選ぶドン・ホセ。だが彼女の心は逞しい闘牛士 エスカミーリョへと移っていた――。

ビゼー作曲による、クラシックなフランスのオペラ『カルメン』。伝統的なオペラに、オリヴィエ賞をはじめ、数々の賞に輝くオーストラリア人の人気演出家バリー・コスキーが新しく息を吹き込んだ。

©ROH、Photography by Bill Cooper

セットは大きな階段一つ。上へ下へ、右へ左へ。声はむろんのこと、全身を使っての表現を大きく求めた演出家・バリー・コスキーは、コーラス一人ひとりの表現力を最大限まで引き出した。

世界で最も才能あるコーラス隊を、いわば「使いこなし」、彼らの動きによって、階段一つだけの空間のはずが、ときに闘技場、ときに山の奥深く、ときに下町の居酒屋へと、映像が浮かび上がるように感じるだろう。

©ROH、Photography by Bill Cooper

映像中でのインタビューでも、バリー・コスキーは、次のように語る。

コーラス隊を「コーラス隊」というひとまとめにしたくないんだ。みな同じような衣装。似たような動き……。それはつまらないよね。彼らだって、つまらないだろうと思う。
(I don’t like choruses to be treated as anonymous, all the same costume, all doing the same movement – that’s boring, and they find it boring.)

映画配給会社・UNITED PEOPLEを経て、現在映画探検家として活躍するアーヤ藍氏は、同作について次のように話している。

オペラのコーラス隊は、ある種の“黒子”というか、スポットライトが当たることが少ないと思うんです。でもこの作品では、「コーラス隊」という塊ではなく、その中の一人ひとりが自分の役の「人生」をきちんと歩んでいる。命の躍動感に溢れているように感じました。

そんなエネルギーに満ち溢れたステージでも、埋もれることなくひときわ輝きを放つのが、男を翻弄するファム・ファタール、カルメンを演じるロシア人メゾソプラノのアンナ・ゴリャチョーヴァ。会場全体に溢れるようなセクシーさ、そして自由なコケティッシュさに、最後まで目を離すことができない。

カルメンを愛したために破滅へと向かうドン・ホセを演じるのは、イタリア人 テノールのフランチェスコ・メリだ。

(©ROH、Photography by Bill Cooper)

『カルメン』の完成は1875年と、100年以上前。でも、ストーリーに散りばめられた、愛と嫉妬、自由と束縛、憎悪と狂気といった感覚は、時代を超えた人間の普遍的な性質だと思います。

そして、愛に翻弄されながらも、自由であることをどこまでも求め、女性らしさを全力で武器にしながらも、男性と対等であらねばならないという、強い意志に溢れるカルメンの生き様は、現代を生きる女性たちにも、きっと勇気とエールを贈ってくれるはずです。(前出・アーヤ氏)

バレエ、オペラともに世界最高の名門歌劇場、英国ロイヤル・オペラ・ハウスの人気公演を『英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン 2017/18』と題して映像公開するシリーズの8作目。

オペラを初めて見る人も、親しんできた人も楽しめる斬新な『カルメン』は、2018年5月11日(金)より、東宝東和株式会社の元TOHOシネマズ系列を中心とした全国の映画館にて順次上映予定。

©ROH、Photography by Bill Cooper

ロイヤル・オペラ『カルメン』

【Website】http://tohotowa.co.jp/roh/movie/carmen.html
〈作曲〉ジョルジュ・ビゼー、〈演出〉バリー・コスキー、〈指揮〉ヤクブ・フルシャ
〈出演〉アンナ・ゴリャチョーヴァ(カルメン)、フランチェスコ・メリ(ドン・ホセ)、コスタス・スモリギナス(エスカミーリョ)、クリスティナ・ムヒタリアン(ミカエラ)
※ディノスシネマズ札幌劇場、フォーラム仙台、中洲大洋映画劇場でも公開いたしますが、公開日が異なります。詳しくは公式サイトをご確認ください。

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