初夏の候、みなさまいかがお過ごしでしょうか? 韓国もすっかり暖かくなりなした。さて、前回ご紹介したとおり、今回は「g:ru」の代表イ・ミヨンさんへのインタビューです!
――フェアトレードへ興味を持ったきっかけは?
もともと韓国女性環境ネットワークというNGO組織で働いていたの。仕事を通して学んだことが「貧困」と女性問題は切り離せない関係にあるということ。そこで、この問題を実際に解決できる手立てはないかしら、と思ってマイクロクレジットやフェアトレード、太陽光発電までいろいろな観点で解決策を探したんです。
さまざまな分野を見たうえで行き着いた答えが【フェアトレード】。フェアトレードはまさに女性に実際に仕事の機会を与えています。その当時のデータでは、70%以上のフェアトレード生産者は女性だったの。それを知って私はピン! ときたわ。私のやるべきことはフェアトレードだ! って直感したの。
――どうやって実際にフェアトレードブランドを作ったのでしょうか?
最初は右も左も分からなくて、まず日本にいったのよ! フェアトレードのファッション企業であるピープル・ツリーとネパリ・バザーロからフェアトレード会社を作るためにアドバイスを貰いに行ったの。とても手厚くサポートしてくれたわ。この協力が私の背中を押してくれた。会社を作るには人の協力だけではなくてお金も必要。私を含め47人もの資本家を得ることができたわ。
―― 47人も協力者を見つけるなんてすごいですね! どういった方々が協力して下さったのでしょう?
環境問題、貧困問題にとても興味を持っている人たちね。でも実はフェアトレードというコンセプトは全員がきちんと理解しているわけではなかったら、勉強会を開いて一緒に理解を深めていったの。協力者にもきちんとフェアトレードを理解してもらい、納得したうえで協力してもらうって大切よ。勉強会だけでなく、実際に生産者がいるネパール、インド、ベトナム、タイに行ってフェアトレードの『現場』を見てもらったりもしたわ。
――苦労したことは?
創業当時(2007年)は韓国ではフェアトレードを知っている人自体少なかったの。だから47人の協力者を見つけるのも苦労したわ。会社を立ち上げるということは「人」の理解とサポートが絶対に必要ね。でもなんとか本当に小さい会社としてだけれども、韓国初のフェアトレードブランド「g:ru」を生み出した「FAIR TRADE KOREA」がスタートできたわ。
――韓国のフェアトレードはどこまで進んでるのでしょう?
創業時に比べると認知度はだいぶ上がっています。バレンタインデーの時は、フェアトレードチョコレートが雑誌やテレビで紹介されたりしますし、そういうイベントがあればとても注目されます。そうして集められた人々の関心を、いかに引きつけ続けられるか、というサステナビリティ(持続性)が今後の課題ね。
最近は「Well-Being」という考え方が韓国に定着しているの。この考え方は、オーガニックな食や環境にやさしい製品を消費して健康で幸せになることで、日本でいう「ロハス」のようなもの。この「Well-Being」のおかげで、オーガニックやフェアトレードの「食」に興味のある人はかなり増えているの。
でもファッションという観点ではまだまだ。興味がある人は多いのよ。まだまだ韓国ではファストファッションが流行っています。これから韓国人の「美意識」も、もっとエシカルなものに変わっていくでしょう。ブランドバックが美のステイタスの韓国、これからどのように女性の憧れが変わっていくのか見ごたえがありますね。
―― 韓国の政府のサポートについて詳しく教えてください。
特にソウル市は社会起業家への支援に積極的です。私の会社もソウル市から援助されているの。援助金の使途として、新しく働き始めた社員への給料の補助となっているわ。この制度のおかげで、私たち社会企業側も新しい社員を雇いやすくなるし、新しく社会的企業で働きたい! と思っている人々にもチャンスが与えられやすくなる。
嬉しいことに、現在のソウル市長であるパク・ウォンスンさんはフェアトレードに積極的に関わってこられた方なのよ! 実際に彼自身も、「美しい店」というリサイクルショップのNPOをオープンさせたり(現在韓国内に126店舗)しているかなりのエシカル活動家よ!最近では「美しいコーヒー」というフェアトレード専門コーヒー豆会社、カフェを立ち上げたりもしていらっしゃるわ。
実は、今年の世界フェアトレード・デー(5月12日)の日に、ソウル市のフェアトレードへの新たな試みが発表されたのよ。なんと、ソウル市が『フェアトレード・シティ』になることを宣言したんです! すごいでしょ! これをきっかけにソウル市役所やさまざまな公共機関でフェアトレード商品を使うことになるわ。世界でもまだ数少ないフェアトレードに積極的な街としてソウルは発展していくはずよ、期待していてね!
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