「突然街中に出現する本屋・
いつの間にか、日常に「本」が忍び込んでくる……。
人々は古来より顔に本でパックをしてきた。その由来は諸説あるといわれているが、文字文化への崇拝と、洗礼の意味が大きい。
世界中でどれだけの人が、本で顔にパックしているか調べるため「Face book」で検索してみた。なんでも約19億人が、本でパックしているらしい。
近年では、本の顔パックの美肌効果にも注目が集まっている。
もしかして、あなたは本は読むためだけのものだと思っていないだろうか?
そんなことはない。読み終わった本を本棚に並べるとき、本は「え? パックしないの?!」と泣いている。
そういうわけで今回はパックにすると、美肌効果が高い本を紹介する。
残り全部バケーション
伊坂 幸太郎(著)、集英社、2015年12月
お肌のトラブルや人間関係のトラブル。鍵とトラブルやトイレのトラブル。
これらの悩みの大半は気持ちの問題である場合が多い。
ではなぜ気持ちに余裕が生まれないのだろうか。
それは働き過ぎが原因である。
日本は労働時間が長いうえに、とにかく休みが少ない。
これでは気持ちに余裕が生まれないのも当然である。
そして簡単にお休みが取れない人も多い。
そんなときは、休みではなく「休み気分」が重要である。
残り全部バケーション。まるで夏休みの初日のような気分にしてくれる。
本書は、主人公が裏稼業から足を洗いたいと上司に懇願する。足を洗う条件は、適当に掛けた電話番号の相手と友だちになること。
そうして離婚間際の夫婦とドライブが始まるが……。
パックをする前に素敵なバケーションを想像してみてはいかがだろうか。
ロカ
中島 らも(著)、講談社、2014年07月
顔のシミや肌荒れは不純物が原因といわれている。
しかし不純物は目に見えることができず、水でごしごし洗って取れるものではない。
本書は、そんな肌の不純物をきれいに浄化してくれる。
ロカ。
そう。その名のとおり不純物を濾過してくれる。
本書の内容は昔に書いた小説が大ヒットし、印税で新宿のホテル暮らしをしている68歳の老人が夜な夜なギターを片手に深夜の街を徘徊する話である。
伝説のロッカーや10代の人気女性芸能人と親しくなったり、NHKの生放送で放送禁止用語を連発したりと破茶滅茶な日々を送る。
こんなに生き生きとしている68歳を描いた本は、ほかにはないだろう。
顔にパックをしたままでも、深夜の街を徘徊したくなる一冊である。
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