【連載】KAITAI DISCOVERY 〜解体して発見するモノの裏側〜【全5回】

災害時の必需品! 「手巻きラジオ」を解体してみた

A Picture of $name 中家 幸太 2016. 10. 3

普段目にする、周りにあるモノたち。
使い方は知っているのに、中身がどうなっているのか、そしてどんなしくみで動いているのかは分からない。

開けて中を覗いてみたら、不思議な世界が広がっていて、おもしろい発見があるかもしれない。

解体(Kaitai)を通してモノの裏側に隠れている秘密を発見(Discover)。モノに対する常識やイメージを一新させ、私たちの世界観をほんのちょっとだけ、広げてみたいと思っています。

小さくて丸い、かわいい手巻きラジオ。くるくるくる〜っとハンドルを回して、自分で発電〜!

手のひらに収まるほどのサイズなのに、自分で発電もできて、ラジオも聞けるなんてすごい。どんなしくみと工夫が施されているのでしょうか?

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今回は、手巻きラジオを解体してみます! さぁ、何が隠れていることやら……!

早速、ラジオ裏のネジを外します。

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意外としっかり部品が固定されていて、外すのが難しい……。

やっとネジが取れ、カバーが外せるようになりました。

よいしょっと、カバーを外すと……

なんだかすごいものが、いろいろ出てきました!

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電子部品がたくさんくっついている緑色のプレート(「基盤」といいます)が見えます。

でもでも、それより気になるのは、このハンドル!

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中の丸い形をしたものがハンドルと一緒になっていて、ハンドルを回すと、くるくる〜っと、円筒形の部品も一緒に回ります。

気になるので、この部品をドライバーでネジを外し、取り外してみます。

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……よいしょっと!

外れました!!

ジャーン!

ハンドルの裏側には、たくさんの歯車がくっついています!

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ハンドルを回すと、歯車が一緒に回転し、発電されるようです。

この発電機は、自転車についているものと同じしくみ。

自転車とラジオに同じものが付いているなんて不思議です。

次は、卵型のケースにすっぽりと収まっている、緑色の基盤を外してみましょう。

ネジを外して、パカッと。

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簡単に取り外すことができました。

開けて、まず目に入ったのは、基盤についている歯車。

カバーの正面から見てみると、これはくるくるとつまみを回して、調整をするときに使う、ダイヤル部品のようです。

ツマミをつけてみました。

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では、ダイヤルのさらに下にある、歯車は何のためにあるものなのでしょうか?

その答えは、片方のケースにありました!

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ケースの上側に、別の歯車が付いています。

それに対応するように、ギザギザがたくさんついた赤色の、ヒモのようなものが取り付けてあります。

ギザギザヒモを覆っているカバーを外すと、もっとよく見えます。

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赤いギザギザが、歯車によってスライドするようです。

裏側に何か、青いフィルムのようなものが見えるので、剥がして取り外してみます。

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青いフィルムに見えたものは、周波数を示すプレートでした!

赤いギザギザが動いて、どの周波数にラジオが合わせてあるのかが分かるようになっています。

最後に、緑色の基盤を取り外してみましょう。

横から見ると、ビルが立ち並ぶ街のように見えます。

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真上から眺めると、まるで航空写真を見ているかのよう。

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基盤の街に、道路のようなに薄緑の線が張り巡らされているのが見えます。

これは、まさに電気の通り道となる線。部品と部品が、この道でつながっているのです。

解体した手巻きラジオの部品たちを、並べてみました。

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手のひらサイズの、小さくコンパクトなボディーにみっちりと収まっていた部品たち。

解体しなければ、絶対に見ることのできなかった手巻きラジオの裏側が、明らかになりました!

さて、今回で本連載「KAITAI DISCOVERY」は最終回となります。

カバーを外す瞬間。

解体をするにあたって、一番最初のこの瞬間が、僕の最も好きな工程の一つです。

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いままで見えなかった世界が、一気に眼前に広がるこの瞬間が、いちばんワクワクします。

どういうしくみで動いているのだろう? これはなんのためにあるのだろう?

このシンプルな気持ちは、僕が子どものときから変わりません。

少し大きくなったいま、モノを作るには、多くの時間と手間がかかるものだということを知っています。

良いモノを作り出すには、「工夫」が大切だということも。

たくさんの人々が頭を悩ませて作り上げた、身近に溢れているたくさんのモノたち。

神秘の世界は、意外と身近なところにあるかもしれません。

これから僕は、イギリスにわたり、新しい「バトン」を生み出していけるよう、さらなる研究の道に進みます。

半年間の解体。お付き合いくださり、ありがとうございました!

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