普段目にする、周りにあるモノたち。
使い方は知っているのに、中身がどうなっているのか、そしてどんなしくみで動いているのかは分からない。
開けて中を覗いてみたら、不思議な世界が広がっていて、おもしろい発見があるかもしれない。
解体(Kaitai)を通してモノの裏側に隠れている秘密を発見(Discover)。モノに対する常識やイメージを一新させ、私たちの世界観をほんのちょっとだけ、広げてみたいと思っています。
小学生の頃、鍵盤ハーモニカを一生懸命抱えて学校に行っていました。
ほとんどの人が一度は触れたことがあるはずなのに、どうやって音が鳴っているのか知らない。
中身は、いったいどうなっているのだろう?
いつもの好奇心が湧き出てきたら、早速解体開始です!
鍵盤ハーモニカを手に取り、ひっくり返してみると……裏にネジがあり、カバーケースを留めています。
地道にネジを全部外すと…… パカッ!
カバーケースが外れました!
まず気になったのは、ハーモニカ上部。横にびっしり並んでくっついている、小っちゃいバネたち。
バネは、白・黒それぞれの鍵盤とくっついています。叩いてみると、鍵盤を元の位置に引っ張り戻しています。
まさか鍵盤ハーモニカの中に、こんなにたくさんのバネたちが隠れていたなんて……!
次に気になったのは、息を吹き込む口の部分。
鍵盤を抑えてみると、閉まっていた穴が開き、鍵盤を叩いた場所だけに空気が流れていきます。
なぜ、息を吹き込むだけで、あんなにたくさんの大きな音が出るのでしょうか?! 気になる!
そこで、鍵盤の裏に付いている白いカバーを外しにかかりましょう。
ドライバーでネジを外します……
白いカバーが取れました!
カバーの下には、なにやら金色のプレートが! プレートには、細い短冊のようなものが付いています。
この短冊を指で押すと、切れ込みの中に入っていきます。
この下にはなにがあるのでしょうか?
さらにネジを外してみると、金色のプレートの下には、なにやら、四角い穴が並んでいました。
この板は、穴を塞ぐように、穴とほぼ同じサイズになっています。
プレートを通った空気はこの穴に流れるようです。
プレートをよくよく見てみると、細長い短冊の長さは、それぞれ異なっていることが分かります。
このプレートの長さで、音の高低が決まっているのかもしれません。
これこそ、鍵盤ハーモニカから音が出るしくみに関係するものなのでしょうか?
とても気になったので、調べてみました!
プレートに付いている細長い板たちは、「リード」と呼ばれるもので、長方形の穴は「窓」と呼ぶそう。
リードと窓の間には、左右およそ0.03mm、先端は約0.1mmの隙間があります※1。
吹き込み口から入った空気は、このリードの部分に流れ込み、リードの下の穴から抜け出ます。
このとき、隙間を流れる空気の流れによってリードが振動し、決まった音が発生するそうで、この隙間こそ、音のクオリティーに直接関係するとっても大事なものだといいます。
細長い小さい板が、プルプル震えることで鍵盤ハーモニカから音が出ていたなんて、とてもびっくりです!!
しかも、リードの厚みは、先端が太く、真ん中が薄く、そして根元が太くなっています。
……鍵盤ハーモニカ、奥が深いぞ!!
最後に、小っちゃいバネたちをペンチで外し、鍵盤を取り出します。
鍵盤のキーも外れて、バラバラになりました。
骨組みだけになったハーモニカの本体と、鍵盤付きのハーフアンドハーフ。
ドラえもんの世界に出てくる、「どこでもドア」は、行きたいと願った場所はどこでも、扉を開けば行けてしまう素敵なモノです。
解体をしているとき、ぼくはまるで「どこでもドア」を使って、まだ見ぬ土地に行くような気分を味わいます。
カバーを外して、中を覗くと、まるで別世界。いままで持っていた、モノに対するイメージが、見事に崩れ、新しい世界が開けます。
今回解体した「鍵盤ハーモニカ」は、いままでの中で最も、ワクワクするような新しい世界を見ることができました。
「どこでもドア」は、意外と身近なところに存在しているのではないでしょうか。
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