普段目にする、周りにあるモノたち。
使い方は知っているのに、中身がどうなっているのか、そしてどんなしくみで動いているのかは分からない。
開けて中を覗いてみたら、不思議な世界が広がっていて、おもしろい発見があるかもしれない。
解体(Kaitai)を通してモノの裏側に隠れている秘密を発見(Discover)。モノに対する常識やイメージを一新させ、私たちの世界観をほんのちょっとだけ、広げてみたいと思っています。
ジリリリリーン!!
勢いよく鳴るベルの音。
つやつやと光る黒電話。
受話器を取り、ダイヤルをカラカラと回して電話をかける。
僕が小さい頃、おばあちゃんの家にあった黒電話。電話をかけるのが楽しくて、何度もダイヤルを回して遊んでいました。
大きくなったいま、「そういえば、黒電話の中身ってどうなっているんだろう?」と思いました。
……開けてみたい!
いつもの好奇心が湧き出たので、今回は「黒電話」を解体しました!
まず最初に、黒電話をひっくり返して……
裏のネジを外します。
2つに分かれた黒電話、中になにやら不思議なものが付いています。
なんだこれは?!
まず気になるのは、黄金色のお椀みたいなやつ。
大きさの違うものが、2つ並んでいます。
よく見てみると、お椀の間にレバーみたいなものが付いています。
動かしてみると……
チーン。
なんだか、仏壇で流れるような音が出てきました。
さらにレバーを揺らしてみると……
またチーン。
次に生まれたチーン音は、前のとは音程が違います。
ということは……
ジリリリリリーン! という音は、音程の違う、2つのチーン音が連続で鳴ることで、生み出されていたようです。
次に気になるのはダイヤル!
ダイヤルの裏側が見てみたい!
ひっくり返してみると、裏側は、なんだか時計の中身みたい。
4つある歯車は、全てがつながっていて、ダイヤルを回すと、くるくると歯車が回るようになっています。
黒電話が生きていたのは、携帯などなかった時代。
歯車がくるくる回って電話が掛かっていたなんて、ちょっと不思議です。
しかも、黒電話は電話線につながってるだけで、電源にはつながっていません。電話線によって電話局から電気をもらって最低限の電力で動いています。
不思議……。
調べてみると、受話器を取った状態でダイヤルを回すと、ダイヤルに内蔵されたスイッチが、数字の数だけ電話線の回路を断線させるのだそう。
それが交換器に伝わって、何番を回したのかが分かるようになっています。
受話器が置かれた状態では、電話線からの信号はベルにつながっています。
呼び出しの場合は、局側から電話線の電流を断線させることでベルを鳴らしています。
これらの切り替えを行っているのが受話器を置くところにあるスイッチです。
これが、受話器を置く場所に当たる部品。
受話器が置かれると、その重みでつながっていた回線が離れて切れるようになっています。
正面から見ると、顔のように見えますね。
最後に受話器を解体してみました。
ボロっと、スピーカーが出てきました。声が聞こえるところと、声を吹き込むところに、スピーカーが付いています。
黒電話を解体してみると、細かいパーツを含めて約50個ありました。
「黒電話」を解体して分かったこと。
仏壇にあるような、不思議な「お椀」が中に入っていたこと。
黒電話のダイヤルの裏側は、まるで時計の中身のような世界だったこと。
昭和を支えたメイド・イン・ジャパンは、シンプルかつ美しいものでした。
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