2011年の「H&M」のサステナビリティ・レポートが発表され、英・guardian誌でおなじみのジャーナリスト・Lucy Siegle氏が「H&M」のサステナビリティ・マネージャーを取材した記事が話題を呼んでいます。同レポートによると「H&M」は世界最大のオーガニックコットン使用を誇り、エシカルコレクションである「Conscious Collection(コンシャス・コレクション」も好調。エシカルなサプライチェーンを構築すべく、2011年は大きな躍進を遂げたと発表されていました。
「私たちはファストファッションが大好きだ。だからもし、『H&M』が人権・労働問題、環境問題を解決して、エシカルファッションを安価に提供してくれたらいいのに……」とLucy Siegleはレポートの中で語り始めます。「そしたら、David Beckamの下着コレクションを買うのに!」とも。
Lucyの問いかけに、「H&M」のサステナビリティの責任者・Helena Helmerssonは次の語ります。
私は、「保証」というのは適切な言葉じゃないと思ってるの。多くの人が保証を求めてくるわ。労働条件は保証されているのか? 有害な化学薬品は使用していないと保証できるか? ってね。私たちはとてつもなく大きな企業体として、困難な問題に立ち向かっているのよ。だから、一つだけ確かに言えるのは「私たちはできる限りの努力をしている」ということなの。
Helenaの言葉を受け、著者・Lucyは、「彼女の言葉を信じるわ」と言います。
それは、同社のサステナビリティ・レポートに挙げられた数々の実績値から。Lucyは例として、250万足近くの靴が水溶性の毒性の低い薬品を用いて生産されたこと、リサイクル・ポリエステル繊維のために、920万個のペットボトルを材料として使用したこと。そして言わずもがな、同社はアパレル最大のオーガニックコットン使用量(コットン製品全体のうち、7.6%)を誇り、2020年までには100%を目指していることなどを挙げています。
「H&M」は自社工場を持っておらず、全て工場との契約。インドに2年在住した経験を持つサステナビリティ責任者は、こうした国で日常的に行われる不正も知っていると話し、契約工場を全面的にコントロールできないリスクも念頭にあると話します。しかし同時に、Helenaはこうも語ったそう。
私の夢はね、世界中の人、お金がない人でも、サステナブルでばっちりオシャレを楽しめる服を買えるようにすること。そんな視点から「H&M」を見てもらいたいわ。ただの大量生産・大量消費するファストファッション・アパレルじゃなくて。そして、そう見てもらえるように「H&M」は努力しているのよ。
そんなHelena氏の言葉を受けてLucyはこのように締めくくります。
良い夢じゃないの! でも、まだエシカルアパレルとして「H&M」で服は買えないわ。まだまだ解決すべき問題が山積している。でも前向きに見守りたい。
ファストファッション関連工場で働く人の数→400万人 バングラデシュのアパレル工場の平均賃金→$43 / 月(世界最低)
詳しく「H&M」のサステナビリティ・レポートを読みたい方はコチラから。