BIOを知り、日常の中に少し取り入れてみると、身の回りのケミカルで工業的なものも、違った角度から見えて、あらためて理解できたりします。
自分自身の中に新しいモノの見方、価値観が生まれる感覚は心地良い! だから、BIOは、ラッキーなこと!
「BIO is LUCKY!」では、BIOでラッキーな情報をご紹介していきます。
一般社団法人日本ビオホテル協会の中石真由子です。
BIO HOTEL®は、ヨーロッパ ビオホテル協会の認証を受けたエコ・オーガニックホテル。現在、ヨーロッパ7カ国で約100軒あります。
ドイツにあるBIO HOTEL®、Eggensberger Biohotel Fussen(エッゲンズベルガー・ビオホテル・フュッセン)を訪ねると、門にさまざまな認証や加盟団体のプレートが掲示されているのが見えます。
写真中央左に見えるのは、BIO HOTEL®認証マーク。その下にある、「ehc (エコホテルサーティファイド)」のフレームは、エネルギー・CO2削減に取り組んでいる証です。
各BIO HOTEL®は、「エコホテルサーティファイド(eco hotel certified; ehc)」という団体に加盟し、コンサルティングを受けて、エネルギーや環境に関する取り組みを推進しています。
ヨーロッパのBIO HOTEL®認証の基準項目には、大きく以下の3つがありました(詳しくは前回参照)。
- 食べ物、飲みもの
- コスメ類(シャンプー類、コスメ、トイレタリー、エステ・スパプロダクツ等)
- CO2排出量
しかしこうしたフレームを見ると、BIO HOTEL®が単純に、ビオな食べものや飲みもの、コスメティック類を揃えただけのホテルでないこと。持続可能な社会づくりのための取り組みをしていることが分かります。
あるとき、知人に聞かれました。
BIO HOTEL®の要件にCO2の削減が入っていますね。周りに森林があれば、それほど気にしなくてもいいことではないですか?
確かにそうかもしれません。
樹木は、大気中の二酸化炭素(CO2)を吸収して、光合成を行います。
私たちが呼吸し、日常のさまざまな活動を行う中で排出するCO2を吸収してくれる森林の存在。その役割は、とても貴重です。
しかしながら、排出してしまったものをオフセット(埋め合わせ、相殺)するという考え方の前に、なるべく排出をしない方法そのものを追求する姿勢も大切であると考えます。
宿泊業や観光業などに関連するCO2には、おおまかに数えても、以下のようなものがあります。
- 施設における熱源等で排出されるCO2
- 食材が生産される過程におけるCO2
- 食材やその他備品等の運送、調達におけるCO2
- ゲストが滞在中の移動によって排出されるCO2
ゲストにストレスを与えることなく、心地良さ、ホスピタリティーを提供するホテル業において、CO2をなるべく排出せず、しかもさらに自ら削減するというミッションを導入することは、ホテル側に相当の覚悟が必要であることは、想像に難くありません。
そのミッションは、具体的なアクションとして実行されています。たとえば……
- 再生可能エネルギーの使用、太陽光パネルでの自家発電等
- Co2の排出が多い牛肉を単純に使用するのではなく、別の食肉や野菜料理の工夫
- 近隣の農家や加工メーカーの生産物を購入
- ゲストの現地での交通手段の工夫
- 公共のバスカードの配布
- 自転車の設置
- バイオガス自動車での送迎
- 徒歩でのウォーキング散策など、アクティビティメニューの充実
こうした努力の中でも、一日たっぷりと、ホテル内、ホテル近郊で心身ともに充実できるような過ごし方を提案してくれています。
無料で使用できる自転車ももちろん準備されています。参加者で、サイクリングに行くプログラムもあります。
BIO HOTEL®では、CO2の削減という課題を、「なんとなく環境や心身に良く、地域活性につながっている……」というどこか感覚的なものを、echのようなシステムを活用することで、定量的に示しながら取り組んでいます。
数値化し、見える形にすることは、ゲストの健康や環境に配慮する取り組みを自己満足で終わらせることなく、そのことに責任を持ち、第三者と共有すること。
厳格な数値、指標があってこそ、新しいアイデアが生み出され、それぞれのBIO HOTEL®が、自分たちを取り巻く環境を生かした独自性を発揮しています。
ゲストの健康・環境に配慮する取り組みそのものが定量化されることには、とても大きな意義があります。