【連載】BIO is LUCKY!

スニーカーがつくる、これからのオーガニックのきっかけ。

A Picture of $name 中石 真由子 Photography by MAYUKO NAKAISHI 2016. 3. 15

BIOを知り、日常の中に少し取り入れてみると、身の回りのケミカルで工業的なものも、違った角度から見えて、あらためて理解できたりします。

自分自身の中に新しいモノの見方、価値観が生まれる感覚は心地良い! だから、BIOは、ラッキーなこと!

「BIO is LUCKY!」では、BIOでラッキーな情報をご紹介していきます。

一般社団法人日本ビオホテル協会の中石真由子です。

2年前の2014年3月、オーガニックコットンスニーカーをリリースする際、多くの方に聞かれたことがあります。

どうしてスニーカーに、わざわざオーガニックコットンを使うの?

ふつう、タオルか洋服でしょ?

オーガニックコットンは、脱色や染色を行わない場合、綿実油がそのまま残っているため、自然の防水や防汚の効果も期待できる。(Photography: MAYUKO NAKAISHI)

オーガニックコットンは、脱色や染色を行わない場合、綿実油がそのまま残っているため、自然の防水や防汚の効果も期待できる。(Photography: MAYUKO NAKAISHI)

BIO HOTEL JAPANを立ち上げて約半年。オリジナルプロダクトを作るなら、オーガニック製品としてかつてほぼ存在しなかったものと決めていました。

またプロダクトを通じて、達成したいテーマもいくつかありました。

  • 1. 日常の中で気がねなくオーガニックを使用、身につけることができるもの
  • 2. 年齢・性別・職業・時代・国籍を問わず、できるだけ多くの人たちが「良いね」と思うもの
  • 3. ものづくりに真摯に取り組む大手企業とBIOについての共通意識を持ち、いっしょに商品づくりをすること

こうして私たちは、オーガニックコットンのスニーカーを作ろう! と決定。

そして、140年余の長い歴史を持つ株式会社ムーンスター社に志を共有。製造をお願いし、「LIFE is A JOURNEY」は生まれました。

オーガニックコットンを選ぶ理由

実は、農薬を使って栽培される綿花であろうと無農薬の綿花であろうと、仕上がった生地製品の段階の残留農薬自体はゼロ。

よくオーガニックコットンは「気持ち良くて風合いが良いよね」と言われますが、それは加工の過程における紡績や染色、縫製等の状況によるもの。無農薬綿花そのものの特徴ではありません。

ただし、ひとたび農産物としての綿花に焦点を当てると、状況は変わって見えます。

綿は、世界各地の熱帯または亜熱帯地域が原産。花がしぼんでから1カ月ほどで果実が割れ、コットンボールが現れる。ワタは白色だけでなく、緑、青、茶色のものもある。 (Photography: Courtesy of PANOCO TRADING Co.,Ltd.)

綿は、世界各地の熱帯または亜熱帯地域が原産。花がしぼんでから1カ月ほどで果実が割れ、コットンボールが現れる。ワタは白色だけでなく、緑、青、茶色のものもある。
(Photography: Courtesy of PANOCO TRADING Co.,Ltd.)

世界中の綿花の栽培面積は、全耕作地のたった約3%。
 他方、殺虫剤の使用量は全世界の約16%。農薬の使用量も約7%を占めているといわれています(※NPO日本オーガニック・コットン協会

コットンという身の回りにある天然素材に、大量の殺虫剤と農薬が使われているという事実。
 しかし、もし私たちが「オーガニックコットンを使う」という選択をすれば、次の3つのことに関わることができます。

  • 1. 農薬や化学肥料を使わないコットン栽培(3年以上農薬を使わない土壌環境)
  • 2. 生産者の健康被害減少
  • 3. 綿花から生地への加工段階における環境配慮

オーガニックコットンスニーカーを通して伝えたいのは、農薬や殺虫剤の怖さではなく、「物事に対する心の構え・態度」のこと。

私たちの考え方やあり方を、スニーカー一足で整えることも可能かもしれません。

140年の歴史を支える技術とプライド、そして人の力

初めての商品が完成するとき、ムーンスター社久留米ファクトリーを訪問しました。

いまでもはっきりと覚えているのは、まるで丁寧に食べ物を作っているかのようなファクトリーの様子。
 整然と機械類や工具が並ぶ中で働く人たちの姿には、一見の神々しさがありました。

整理整頓された美しいファクトリー内部。(Photography: MAYUKO NAKAISHI)

整理整頓された美しいファクトリー内部。(Photography: MAYUKO NAKAISHI)

「ラスト」と呼ばれる靴型にしなやかに生地を沿わせて成型する。平面の生地が立体へと。(Photography: MAYUKO NAKAISHI)

「ラスト」と呼ばれる靴型にしなやかに生地を沿わせて成型する。平面の生地が立体へと。(Photography: MAYUKO NAKAISHI)

つま先部分のゴムを貼っているところ。熟練の微妙な力加減で、強度ある美しい形状を生み出す(Photography: MAYUKO NAKAISHI)

つま先部分のゴムを貼っているところ。熟練の微妙な力加減で、強度ある美しい形状を生み出す。(Photography: MAYUKO NAKAISHI)

人の手の力を信じた、確かで正しいものづくりの精神は、働く人の誇りが宿る機能美あふれるプロダクトを生み出しています。

商品名に託された“LIFE is A JOURNEY”。

そう、人生は、旅。
 大地を踏みしめて歩く感覚は、なにげない毎日の出来事をかけがえのない価値ある経験として、一つひとつ刻んでくれます。

そして我が足を守り、ともに歩みを進めてくれる靴は、旅の相棒。
 たくさんの出会いや一瞬のときめきに、静かにそっと寄り添ってくれます。

BIO HOTELS JAPANが取り組む「ビオホテルプロジェクト」は、「ORGANIC(オーガニック)」、「BIO(ビオ)」という有機的に結びつくライフスタイルや生き方を広く知っていただくことが目的。

「ORGANIC」には、「本質・根幹」、「BIO」には、「生物・歴史」という意味があります。
 私たちは、これからの日本のあるべき姿や人としての考え方、そして持続可能な社会を目指し、それらを全部網羅するようなキーワードとして。また、さりげなく象徴するような表現として、「ORGANIC」「BIO」という言葉を位置づけ、大事に考えています。

誰がどこで、どんなふうに作ったものかを知り、ものを選び、食べ、身につけること。
 ちょっとした意識や関心の向け方で、私たちの生き方やライフスタイルは、一つひとつ大切な歴史として、どんどん豊かに変えてくれます。

日々の生活は、この世界を自由に旅すること。
 美しい地球と輝かしい未来のために、私たちができることは、きっとたくさんあります。

旅せよ、自分。歩け、自分。

ドイツ・フュッセンのBIO HOTELを旅したとき、近くの公園で。(Photography: MAYUKO NAKAISHI)

ドイツ・フュッセンのBIO HOTELを旅したとき、近くの公園で。(Photography: MAYUKO NAKAISHI)

オーガニックコットンスニーカー2nd editionは、2016年3月中旬リリース

限定色のオリーブグレー。予備のシューレースは白。(Photography: MAYUKO NAKAISHI)
限定色のオリーブグレー。予備のシューレースは白。(Photography: MAYUKO NAKAISHI)

2016年は、キナリに加え、限定色のオリーブグレー、黒もリリース。GOTS認証を取得したオーガニックコットン生地を使用しています。
Website:http://biohotels.shop-pro.jp(※販売サイトへ遷移します。)




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