世界中の女性たちが、健康面での女性特有の問題を抱えている。HIV感染症/エイズや性的暴行のリスクなどは、改善に長い時間をかけなければならない。
しかし、すぐにでも解決できることもある。
それは月経。
国連児童基金(ユニセフ)が行った調査によれば、10人に1人の女の子が、月経の時期に学校を休んでいることが推測されるという。また、世界銀行の統計によれば、月経の周期と同じ、女の子の多くが30日ごとに4日間学校を休んでいるという。
理由は、月経に適切な衛生施設が学校にないため。また、生理用品や知識も不十分で、経血が衣服に付着し、周囲の生徒からからかわれたりすることもなどもストレスになってしまう。
そうして欠席が積み重なれば、勉強についていけず、しまいには学校をドロップアウトしてしまう一因になっている。途上国での月経は、はるかにリスクが大きいのだ。
アメリカのDiana Sierraが開発した生理用下着は、新しいアプローチでこの解決に乗り出している。
プロダクトデザイナー・Diana Sierraが開発した生理用下着「BeGirl」は、一見オシャレなふつうの下着だが、股に直接あたる部分の生地であるクロッチがポーチ状になっている。そこに、自分の身近にある好きな吸収素材を装着して使用する。
吸収素材は、コットンでもタオルでも、トイレットペーパーでもなんでも良い。自分の好みのものを選ぶ。
クロッチ部分は、経血が漏れ出ないような強力素材。ステインフリーで汚れがつきにくいうえ、速乾性のナイロンは、室内干しでも1時間以内には乾く。
途上国の月経問題を解決すべく、1回カップを装着すれば、12時間は漏れの心配のない月経カップや洗って繰り返し使える布ナプキンなど、さまざまな生理用品が貢献している。
その中で「吸収素材を自分で探して入れる」のは、一見手間が多いようにも感じるが、「BeGirl」ポーチ型デザインを採用した最大の理由は「自分で選ぶ」ことにある。
「BeGirl」の吸収素材は、自分の環境の中で手に入りやすいものを選ぶことができる。
いくつかの国で製品テストを行ったときのこと。
ソロモン諸島でのテストでは、女の子たちは現地でとれる海綿を詰めていた。海綿が豊富な地域のため、安全に使用し捨てることができるのだ。
ガーナでは、バナナ繊維が詰め込まれた。ウガンダでは、家で育てているコットンを摘んで詰める子たちがいた。アメリカではペーパータオルを詰める女性が多いという。
月経量が多い日・少ない日。肌に合うもの、合わないもの。手に入りやすいもの。捨てやすいもの……エンパワメントの本質は、自分で選ぶことにある。解決方法をただ与えるのではなく、自分で選ぶ余地を残すべき。
そんな考え方が「BeGirl」にはある。
Diana Sierraは、次のように付け加える。
女の子たちの話を聞くと、下着に布の端切れを詰め込んでいるというの。でも、ずれてしまうのが悩みだと。端切れは豊富にあるのは知っていたので、「いま手元にあるリソースと、行っているプロセスをどう最適化するか」という視点でデザインしました。
クロッチ部分をメッシュ素材でカバーし、漏れない生地のレイヤーで保護。
あくまで下着にしたのも、途上国のコミュニティによっては、清潔でしっかりとした下着を手に入れることすら困難だったりするから、ナプキンだけあっても仕方ないからです。
「BeGirl」の下着は、もちろん先進国の女性も購入可能。一つ購入すると、途上国の女の子にも一つ寄付される。価格は一つ12ドルで、S/MサイズとM/Lサイズの2サイズあり。
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