2015年6月23日、国際自然保護連合(ICUN)は、絶滅のおそれのある野生生物のリスト、通称「レッドリスト」の更新を発表。それに伴う調査の結果、22,784種が絶滅の危機にあることが明らかになった。更新では、77,340種が評価された。
主な絶滅要因は生息地の破壊。IUCNレッドリストに記載されている種のうち、該当するものは85%にのぼるという。次いで、違法取引、外来種の導入が個体数減少の要因と分析されている。
保護活動の甲斐あって、個体数を増加させたのはスペインオオヤマネコやグアダルーペオットセイ。
2002年には52頭(成体)にまで落ち込んだスペインオオヤマネコは、2012年に156頭に回復。結果、「絶滅危惧ⅠB類」に危機度が1段階引き下げられた。スペインオオヤマネコが餌にするウサギを地域に戻したり、不法な捕獲を監視、飼育繁殖を行うほか、生態系として適切な土地の使い方を行った土地所有者への補償措置などを行ったという。
一方、アフリカゴールデンキャット、ニュージーランドアシカ、ライオンなどがいっそうの危機に陥っていることが分かった。アフリカゴールデンキャットは、狩猟のために個体数が減少。「絶滅危惧Ⅱ類」へと、1段階悲しいランクアップを行った。ニュージーランドアシカも、漁業による環境の変化や、魚網に引っかかるなどの事故死が原因で減少。「絶滅危惧ⅠB類」へ判断が引き上げられた。
動物だけでなく植物も絶滅の危機に瀕しているものが少なくない。例えば今回、熱帯のアジアのアツモリソウ全84種のうち、99%が絶滅の危機にあることが明らかになったという。園芸目的による過剰採集と生息地の破壊が主な原因。アツモリソウは、ワシントン条約により取引が禁止されているが、国による管理が適切に行われておらず、いまも違法取引が行われていると見られている。
IUCN事務局長・Inger Andersenは、有効な保護活動が大きな結果をもたらしていることを喜ぶとともに、今回の更新版発表は暁鐘であると話している。
自然界はどんどんもろいものになってきています。地球が有する美しい多様性は、驚きとともに我々をインスパイアし、また生活を支えてくれるものです。国際社会は自然保護にいっそう取り組まねばなりません。
ICUNは2014年11月に、全世界の既知の総種数は約170万種と推定を発表している。そのうち、22,784種が絶滅したら? これは数の問題ではない。
ICUNのレッドリストはコチラ。日本では、IUCN日本委員会のウェブサイトでも確認することができる。
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