KeoK’Jay(クメール語で”ブライトグリーン”、”新鮮”)は、ファッションビジネスを通してHIV/AIDSの女性たちへのエンパワメントを行っているブランド。カンボジアのプノンペンで活動しています。
HIV/AIDSを患う女性たちの大半は、売春や支援に依存する生活を続けてきたことで、自尊心が失われています。さらに、ジェノサイド(大量虐殺)やレイプなどの辛い経験によって、深い心の傷を抱えている場合が非常に多い。「KeoK’Jay」の作業場では、同じ境遇にある女性たちが、肩を並べて一緒に仕事をしています。
彼女たちはその場を通して、同じ体験をしてきたからこそ分かり合える苦しみ、悩みを語り合い、気持ちを共有する。実はこれが、心のカウンセリングにもつながるのです。そして、仕事を得ることによって自立した生活を送ることができるようになった彼女たちは、自尊心を取り戻し、毎日をよりいきいきと過ごせるようになりました。
「KeoK’Jay」の目指す最終的なゴールは、「チャリティーの支援金に頼らず、雇用者を搾取せずとも、会社として利益を上げられることを自ら示し、それを新しいビジネスモデルとして確立させること」。マーケティングにおいて焦点を当てるべきなのは、人々の同情を煽るのではなく、商品のデザインと質にこだわることであると、代表のRachelは考えます。「KeoK’Jay」のアイテムは全て、プノンペンの市場で見つけたベッドシーツや男性用のシャツなど、現地で調達したリサイクル素材を使用。生地の染色やプリントは、野生の植物から作られた染料で行います。今後は、現在カンボジアでは生産されていないオーガニックコットンなどの素材も導入予定だそうです。「世界の女性たちの輝きをつなぐ」という夢いっぱいの洋服に、心がときめきます。