繊維商社・豊島株式会社のオーガニックコットン推進プロジェクト「オーガビッツ」。より多くの製品に「ちょっとずつ(※混率10%以上)」オーガニックコットンを混ぜ、オーガニックコットンの服を増やしていこう、という取り組みです。NPOへ寄付・支援する「オーガビッツプロジェクト」も多数行っており、2013年からは東北大地震の被災地で桜の植樹活動を行う「NPO法人さくら並木ネットワーク」を支援しています。
2015年3月22日(日)、「オーガビッツプロジェクト」を通じて寄付をしたアパレルブランドのみなさんに呼びかけ、桜を植える初の植樹会を行いました。
再び起こる災害に備えて……避難と記憶の「目印」に桜を
2011年3月11日、突如襲った東日本大震災は、約19,000人(※消防庁)の死者・行方不明者を出す大災害に。歴史を振り返れば、たびたび津波による大きな災害を経験してきた東北地方ですが、その歴史の教訓を生かせなかったといいます。
「今度こそ同じ被害を繰り返さないよう、記憶を決して風化させない」という思いで生まれたのが「NPO法人さくら並木ネットワーク」。将来再び起こることが予測される大津波のとき、人々が目指すべき避難の目印になるよう、津波が到達した最高地点の高台に桜並木を作るプロジェクトを推進しています。
2012年からボランティアの方々と岩手・宮城・福島の3県・約2700本の桜をすでに植樹。「津波が来たら、あの桜の向こう側まで逃げるんだよ」そんなふうに100年後も、1000年後も語り継がれ、東北の沿岸地域に人々をいつまでの見守る存在になってほしいーーそんな祈りが込められ連なる桜です。
今回の植樹会は、住民のほとんどが家族を亡くされたという地域で、自宅再建と地域再生に取り組んでいる方たちの土地「誓いの丘」(石巻市北上町十三浜菖蒲田)で開催されました。
ファッション業界から思いを込めて……! 桜を植えよう
「オーガビッツプロジェクト」では2012年から、18ものアパレルブランドと協力して商品1枚につき10円が寄付になるコラボレーション商品を販売。2014年8月29日には、1,715,880円(※桜の苗木85本分相当)を寄付してきました。今回はそのうち56本分を、ブランドのみなさんといっしょに植えました。
朝10時に現地に集まったのは、話題のアパレルブランドのみなさんを含めた約100名。みんなで3〜5人のグループに別れて2時間にわたり作業します。途中、地元のボランティア団体「笑顔届け隊」のみなさんから、豚汁やほたて飯のごちそうも! 地元の人々と交流しながら作業は進んだようです。
復興の「いま」を訪問
午後は、復興の現状を見るため石巻市の各所を訪問。被害の大きかった場所の一つである湊地区や門脇地区、児童108人のうち84人が行方不明となった石巻市大川小学校など、2時間近く掛けて周りました。
まだまだ、瓦礫を撤去しただけの手のつけられていない地域もあれば、復興著しい地域もあり、その対比が激しいのが現状。例えば、2015年8月に完成予定の日本最大級の魚市場・石巻魚市場。もともと207社あった水産加工業が津波で全滅した場所ですが、いまはすでに最新鋭の施設に生まれ変わっています。当時の凄惨さと、復興の複雑さ、難しさを実際に感じる時間になりました。
植えるためにみんなが東北に集まり、桜が咲いたらまた花見のために東北に集まる場所に
「オーガビッツプロジェクト」を推進する溝口量久豊島株式会社営業企画室室長は、「NPO法人さくら並木ネットワーク」をサポートしようと思ったきっかけを次のように話します。
「オーガビッツ」として震災後、東北に関わる支援活動にいくつかご協力させていただく中、さくら並木ネットワークさんの活動を知りました。事務局を訪問して活動を聞いて、壮大な構想に驚きました。300kmにわたる桜並木を作って100年後に伝えようなんて……。植えるだけではなく、植えるためにみんなが東北に集まり、桜が咲いたらまた花見のために東北に集まる活動にしようって……とにかくとにかく、驚いたんです。
それで「オーガビッツ」にできることを考え、年間100万円の寄付を目標に、プロジェクトを立ち上げました。お陰さまで初年度から目標を上回り、2年目には早くも植樹祭を実現することができました。ファッションブランドさんの力、服の力を感じるプロジェクトになりました。
参加したアパレルブランドの方からも、「ここに来れば桜がある。震災で地元を離れた人も地元に残った人も、この桜でつながるような場所になってくれれば嬉しい」という感想が。溝口さんも「『オーガビッツ』春の恒例行事として、毎年このプロジェクトをキッカケに、東北に集まれるプロジェクトにしていこうと思います!」とのこと。
そのとおり、災害のときだけでなく、花見をしたり近所の人が気軽に遊びに立ち寄ったり……この地に連なる桜並木は”ちょっとずつ”、でも確実に、人の輪をつなげて広げていくことでしょう。そんなつながりが、人の命を明日につなげていくのかもしれません。
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