環境にやさしい素材として注目を集めるオーストリア・レンチング社の素材「テンセル®」。その名前を聞いたことがある方も多いのでは?
テンセル®は、ユーカリを原料に、化学処理で化学変化を起こし製造されたもの。化学繊維と聞くとエシカルでないような印象を受けますが、石油などで作る合成繊維とは異なるため、天然繊維に近い化学繊維として捉えられています。水・化学薬品・エネルギーの使用量がオーガニックコットンなどの他の繊維よりも低く、また丈夫で長持ちするエシカルな素材と考えられています。
さて、このテンセル®を実際に見たことがある人はいますか? 実は、生地の名前ではなく生地の元になる「ワタ(ファイバー)」のことをテンセル®と呼びますが、この注目を浴びているテンセル®素材について、詳しく知っている方はまだまだ少ないのでは? 今回、このテンセル®について詳しくご紹介します!
テンセル®の素材について
テンセル®には必ず「®」マークが付いていますが、テンセル®は商標でありブランド名。一般名称としては「リヨセル繊維」というもので、レンチング社が製造しているリヨセル繊維の名前がテンセル®、ということです。同社がリヨセル製法の世界製造特許を持っているので、現在市場に出ているリヨセル繊維のほとんどがレンチング社のもの。衣服を購入したときには、タグに「指定外繊維(テンセル®)」「指定外繊維(リヨセル)」と書かれています。
リヨセル繊維は、木材パルプのセルロース[※植物細胞の細胞壁および繊維の主成分のこと(wikipedia)]を原料とした化学繊維。テンセル®の場合は、ユーカリ樹木からセルロースを取り出してパルプ化し、ワタへと加工します。
ユーカリは、成長が早く、強い植物のため、次の点から環境にやさしいといいます。
・人による灌漑や遺伝子操作が不要
・痩せた土地でも生育する
・必要な敷地面積が少なく、土地効率が高い
・殺虫剤や化学肥料を必要としない
レンチング社が使用するユーカリパルプは、FSC認証/PEFC認証(森林認証制度)を受けている世界有数のパルプメーカーと長期契約をしており、パルプメーカーが計画植林を行う南アフリカのものが中心といいます。