過去の思い出を懐かしんだり、未来を夢見ることはすばらしいことですが、いまの不安定な社会の中で 私たちはしばしば未来を不安に思ったり、過去の経験に重きを置き過ぎて一番大切な「今」をおざなりにしてしまうことがあります。
私たちは過去にも未来にも生きることができません。私たちの心は「今」この瞬間にのみ存在していて、何かを作り出したり未来につながるひらめきを感じたりするのも、「今」しかできないことなのです。そう、「今」は私たちにとって最もクリエイティブな瞬間。
過去の経験が未来に役立つことはもちろんありますが、それがかえって邪魔をする場合があります。例えば過去に失敗したからといって、同じことをいましても、また失敗するとは限らないのです。9回失敗しても10回目は成功するかもしれないのに、失敗を恐れチャレンジをしないという選択は、ひらめきを生み出し挑戦しようとした「今」を捨てて過去を生きたことになってしまいます。また、同じように未来に不安を持ってしまい、やりたいことを押し殺して身動きできない状態になることも「今」を捨てて未来に生きていることになります。
©Yumi KOMORI
そんなときは、少し立ち止まって、「今」この瞬間にギュッと焦点を当ててみましょう。頭をよぎる「しなければいけないこと」を少し置いておいて、目の前の人とおいしい食事を楽しみましょう。聞いている音楽の世界に入り込みましょう。美しい景色に溶け込んでみましょう。余計な心配を手放し、いまある素晴らしい環境に感謝をし、溢れ出る感情を味わい尽くしましょう。それが、「今を生きる」ということです。
いま自分の目の前にいる人や周りの環境を大切に思い、感謝をすることで「今」が満たされると、未来は必然的に豊かになり、不安はいつの間にか消しさられることでしょう。最もクリエイティブは瞬間は「今」、というお話をしましたね？ 満たされた「今」の連続が作り出す未来は、豊かになるしかありえないのです。
そう考えると、状況を変えたいときに最も必要なことは、無理をしてがんばることではなく、自分がいかに心地良くいられる時間を増やすか、が大切なことが分かりますね！ 無理してしなければいけないことをするよりも、自分が心地よい状態に持っていく工夫をすることで人生が豊かになっていくと思うと、とてもワクワクしませんか？
こんなふうに言うと、「そんなわけがない。がんばることでしか人は報われない」と言う人もいるかもしれません。ですが、そんなふうに自分を犠牲にしてがんばり過ぎた結果、ストレスやうつの多いいまの社会になってしまったのではないでしょうか。物質的に豊かになった社会で、私たちは次のステップ、心の豊かさについて、考えるべきときが来たのではないかと感じています。
心の豊かさは、「今」を大切に生きることで感じられます。「今」この瞬間をぎゅっと掴み、その瞬間に生まれる喜怒哀楽さまざまな感情を思う存分楽しみ味わいつくしましょう。それが幸せな未来を引き寄せると同時に人として最高の生き方であり、人生の目的でもあると思うのです。
