ふだん私たちがなにげなく食べているもの、着ている洋服、読んでいる雑誌……私たちを囲んでいるたくさんの物が一体どこから来ているのか、どうやってできているのかを想像してみたことってありますか?
もしなかったり、忘れてしまっていたりするのであれば、一度ゆっくり考えてみましょう。
当たり前すぎて、忘れていない?
消費社会に住む私たちは望めばいろいろな物を手に入れることができます。お金を出せばポンと「モノ」が出てくる便利な社会では、ついつい忘れがちになってしまう、大切なことがあります。それは、物ができるまでには本当に多くの存在が関わっていることを理解し、感謝を忘れずにいることです。
たくさんの存在が関わってうまれた物たち
レストランで注文した料理には、野菜、動物、農家さん、漁師さん、卸業者、レストランのシェフ、ウェイトレスさん……店頭でおしゃれにディスプレイされている洋服には、植物や動物、糸屋さんに生地屋さん、メーカー、ショップスタッフさん……人間だけではなく、自然界の生き物たちも含め、思いつくだけでもたくさんの存在から成り立っています。
こだわりのレストランやオーガニックの物はもちろん、コンビニで簡単に済ませた食事、自販機で買ったペットボトル。目の前にあるどんな物も、たくさんの存在の協力があってこそ、いま目の前に存在しているのです。
ですが私たちはふだんの生活で、そんなことを忘れてしまいがちです。慌ただしい日常の中で、物が手に入ることを当たり前と思っていないでしょうか?
いま私たちの大量消費社会は、日々多すぎる物を生産しては捨てています。地球環境に多大な被害を与えるこのサイクルを止めるのにまず大切なことは、一人ひとりが「いま目の前にある物に感謝をする」ことだと思います。どんな物でも感謝をして大切に使うことで、必要のないむだな消費を止めることができます。
感謝が救うのは、だれ?
年々早くなる消費社会のスピードに流されるままに必要以上に消費するのではなく、一度立ち止まって、たくさんの存在の関わりによってできた多くの物のおかげで何不自由なく生きていられることに感謝をしましょう。そして感謝することに慣れてきたら少しずつ、「多くの存在の犠牲」のうえに成り立っている物ではなくて、オーガニックの物や、心がこもったハンドメイド、誰かの幸せを祈って作られた物など、「多くの存在の感謝」によって作られている物を選んでいきましょう。
いまの時代、私たち一人ひとりが犠牲のうえに成り立つものを選ぶのか、感謝で成り立つものを選ぶのかが、とても重要な運命の分かれ道である気がしています。
だからといって、焦らなくても、がんばらなくても大丈夫です。まずはゆっくり、少しずつ、できる範囲で、目の前の物に感謝しながら生きていきましょう。そうすることで日々感謝の気持ちが大きくなっていき、しだいに社会にポジティブな影響を与えることができるようになります。そして感謝の中で生きるうち、感謝によって救われるのは実はあなた自身でもあると、気づくことができるはずです。