ピンク、赤、白、何色であってもバラは美しいものだ。古今東西、ロマンスの象徴であり続けているバラだが、環境への負荷という面ではあまり美しいものではない。
バラの切り花は、中南米・アフリカの暖かい気候の地域で生産されたものが8割。それらが一夜のうちに世界中を飛び、花屋の軒先に並ぶ。環境負荷を軽減することを目指しながら花束の販売を行うオンラインショップ「Flowerpetal.com」によれば、バレンタインデーにはバラ1億本を取引されるが、それに費やされるCO2排出量は9,000メートルトンにまで及ぶという。
ならば、国内地域で生産された花を使えばいいのかというとそうでもなく、大した違いはないというのだ。イギリスのCranfield Universityの2007年の調査によれば、ケニアで1万2,000本のバラを栽培すると、6,000キロのCO2を排出するが、オランダで同数のバラを栽培すると、3万5,000キロのCO2を排出することになるというのだ。その理由は、温室ハウスの人工光源。赤道に近く日照時間の長い生産国のもののほうがまだ環境負荷が低いというのだ。
切り花の環境負荷を受け、「FlorEcuador®」「Florverde®」といったワーキンググループがサステナブルな花に認証を与えるしくみを整えている。これらの認証を受けた花束ならば安心だ。
例えば「Florverde®」では、点滴灌漑(※wikipedia)や雨水を活用するなどの方法で水やりをしているか、天然腐植入り肥料を使用しているか、専用のフィルター付きのボイラーを使って排気ガスを処理しているかなど、マネジメント体制・雇用状態など多岐にわたる分野で基準を設けて認証を付与している。しかし、サステナブルなメソッドで作られていても、バラの環境負荷を低減するにはまだまだ道のりは長い。バラはデリケートなため空輸で扱うしかなく、そのCO2排出量が問題だ。
ではどうするべきか? まずは国内地域で生産される切り花に目を向けてみよう。それでいて、温室ハウスを使用する必要のない芍薬、ユリ、ひまわり、ダリア、ジャスミンなどを選んでみるのがオススメだ。それに自然に野に咲く花々を自ら集めるのも一つの手だ。花を贈るとなると、お任せでブーケを作ってもらう人も多いだろう。まずは身近に咲く花の名前を知ってみると、花の選択肢が増えていくのではないだろうか?
日本ならば、知事の認定を受けたサステナブルな「エコファーマー」の花を選んでみるのが第一歩だ。エコファーマーは、温室ハウスいかんではないが、「土づくり」「減化学肥料」「減化学農薬」という3つの技術分野でサステナビリティを推進している。
参考:‘Blooms Away: The Real Price of Flowers’ Scientific American