2007年にオンラインショップ、2012年に実店舗を開き、オンラインとオフラインの両方からエシカルファッションを提供してきたセレクトショップ「FASHION CONSCIENCE(ファッション・コンシエンス)」。
エシカル、デザイン性、求めやすい価格の3つにこだわり、イギリスはもちろん、アメリカ、カナダ、デンマーク、スウェーデン、ブラジルなどさまざまな国から多彩なブランドを揃える。
同ショップのLianne(リアン)に、小売の視点からのリアルなエシカルシーンについて語ってもらった。
―― どうやってブランドをセレクトしていますか?
フェアトレードか、オーガニックやエコ素材を使用しているか、またはリサイクル/アップサイクルに取り組んでいるか。チャリティ活動や脆弱な経済基盤のコミュニティをサポートしているか、といったいずれかのことをしているブランドのみをセレクトしているわ。時期によって変動はあるけどオンラインショップには50ブランドほど揃えているの。
―― ショップの中でも人気なブランドはどれですか?
お客さまに人気なのは、「FAIR+true(フェア・アンド・トゥルー)」と「Skunkfunk(スカンクファンク)」。私たちが「FC Select Vegan Bags and Shoes」とカテゴリーを設けて厳選している、価格もデザインもすばらしいヴィーガン(※動物性原料を一切使用していないこと)ブランドよ。
「FAIR+true」は、ユニークなプリントの生地とデザインがすてき。フェアトレードだけどとってもトレンドに敏感なの。「Skunkfunk」は生産体制がすばらしい。エコ素材をフル活用していて、プリントは大胆で力強いけど、リアルクローズとして着られるの。
―― 2007年の設立以来、イギリスのファッション消費に何か変化は見られていますか?
変化はあるけど、不況の影響であって、賢い選択をしようと目覚めたからというわけではないわ。4年前と比べて財布の紐はきつくなってきて、クレジットカードでなんとかして欲しいものを手に入れるより、手に入れられるようになるまで待つという人が増えてきた。買うものを厳選する人も増えてきたし。
低価格帯のショップも増えてきたけど、生活者の目は肥えているから、「良い品質のものを適切な価格で買いたい」と考える人が増えてきたという感じね。だから、誰がどうやってそれが作ったのか気にする人が増えたことは確か。
―― 「Fashion Conscience」の顧客はどういった人たちですか?
学生から母親まで、18〜45歳の幅広い層。だいたい中流家庭層で教養があって、エシカルな問題に関心を寄せている人たち。以前はエシカル関連のブログやメディアを見てショップやオンラインショップに来てくれる人たちが中心だったけど、そういったものが少なくなってきたから、ふつうのブログや情報サイトを見て来てくれているようよ。実店舗のプロモーションは頻繁には行っていないから、たまたま通りすがって入ってくれる人が多いわ。
―― ショップではどのようにエシカルについて伝えていますか?
どの商品がヴィーガン、フェアトレード、オーガニックかなど、シンボルを作ってそれぞれ示しているわ。それに多くのブランドが、自分たちがどうエシカルなのかをタグに書いているの。店員も、エシカルについて伝えられるわ。
―― エシカルファッションを広めていくために何が必要だと思いますか?
何を流行らせるにも同じことがいえると思うのーーすてきなデザイン、適切な価格、分かりやすいストーリーよ。昔はセレブが気に入りのブランドの宣伝役を買っていたときもあるけど、それは確かに効果があったわ。でも顧客が何を求めているかというと、うきうきする服なのよ。
―― 長らくファッション性とエシカルを兼ね備えたセレクトショップを経営してきました。そのコツなどはありますか?
忍耐と努力、そして顧客が求めるものに応じる柔軟性ね。お客さまの声に耳を傾けて、彼らが望む価格帯や商品に合わせて提案を変えたり、ディスプレイを常にフレッシュで興味をひかれるものに刷新していくこと。
―― 小売としてお客さまとの間に立つ立場から、売れるエシカルブランドに必要なものは何だと考えますか?
努力を知っているからあえて言うのも恐縮だけど、やっぱり価格ね。いまだに、エシカルファッションが通常のファッションより高いと考えている人が多いから。でも消費者も、高いからといって買わない理由はないんだけれど! あと、トレンド感があってリアルに着こなせるデザインでないと、手持ちの服に合わせられない。だけど、ハイストリートでは買えないようなユニークさがスパイスで効いてないとだめね。