ファッション産業はとにかく複雑な構造になっている。その各段階において社会・経済・環境と密接な関わりがあるというのに、その関わりについてしっかり理解することは難しい。
この構造をなるべくシンプルにし、生産者と使用する生活者をつなげようとしているのが、「Studio Jux(スタジオ・ユクス)」である。ファッションを通じて途上国の経済開発を目指すオランダのブランドだ。
「Jux」とは、ドイツ語で「楽しい(fun)」を意味する。生活者にとっても生産者にとっても、ファッションは楽しいものであるべきだ、という思いからだ。
だから同ブランドは、ネパールのテイラーリングを担う女性たちの労働環境を良いものに保つために企業努力を惜しまない。労働者の権利保護に取り組むネットワークNPO・Fair Wear Foundationの定める基準に則った労動規則を設けており、もちろん勤務時間は8時間だ。
創業者の一人・Jitske Lundgrenはネパールに移住し、女性たちに技術指導やマネジメントを行っている。
ネパールは世界最貧国の一つ。首都・カトマンズに仕事を生むことは、とても大きな違いを生みます。
同ブランドが夢見ていたのが、テイラーを一人ずつウェブサイトで紹介すること。
現在、同ブランドのサイトの「handshake」というコーナーで、14名のテーラー全員の写真とプロフィールを公開している。購入した服には番号が振られており、サイトを参照することで誰が自分の服を作ってくれたのか見ることができるようになっている。なにげなく使っているモノの後ろには、それを作ってくれた人がいるのだと実感できる取り組みだ。