【連載】Ethical Girl's Style in N.Y.【全7回】

ふるさとの伝統工芸、知っていますか?

A Picture of $name Shiho Hasegawa 2014. 1. 20

遅ればせながら、みなさん明けましておめでとうございます!

突然ですが、みなさんのふるさとの伝統工芸は何ですか? すぐに答えられる方は少ないのではないでしょうか? かくいう私自身、すぐには思い浮かびませんでした。

前回、「Soham Dave」のNimetさんにインタビューをして伝統技術の美しさを目の当たりにしました。そこでふと、「私の地元の伝統技術って何があるんだろう?」と疑問に思いました。恥ずかしいことですが、前述のとおり、何も思い浮かばなかったのです。そこで今回は「伝統工芸」に迫っていきたいと思います。

地元の伝統工芸を訪ねてみました!

今回、私は地元である東京都多摩地区の伝統工芸である「八王子織」について知るため、八王子織物工業組合さんを訪ねました。

八王子織物は400年の歴史を持つ八王子の地場産業です。もともと織物産業が盛んな地域でしたが、1521年多摩川のほとりに居住地を定めた北条氏が、織物産業を領民の勧業策として奨励したことからますます発展し、江戸時代には桑都朝市(そうとあさいち)として賑わいました。昭和30年代には、ネクタイ生地の生産は全国の6割を占めていたそうです。現在では、若い方向けの商品を作っていたり、「イッセイ・ミヤケ」や「SHIPS」に卸している機屋(はたや)さん(※織り屋さん)もあるとか。

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八王子織を使用したネクタイは柄が豊富でびっくりしました! さらに、八王子織のネクタイは生地がしっかりしているため、1日中結んでいてもあとが残らないそうです。長い歴史の中で培われてきた品質の良さがこんなところからも窺えます。

また、八王子織の中でも多摩織という手法の織り方は、東京都の伝統工芸品の指定も受けています。多摩織は先染め(※先に染められた糸を使って織ったもの)または先練り(※生糸を練ってから織ること)の織物で、主要行程が手作業であり、優れた技術の伝承によって生まれた製品です。羽織やコートなどに利用されることが多いのですが、最近ではよりこだわったデザインと新しい感覚を取り入れているそうです。

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八王子織を教えてくれたのは、おばあちゃん!

こんなに奥深い味わいのある八王子織・多摩織ですが、職人さんの数が少なくなり、現在現役の職人さんも高齢の方が多いのだとか。こんなにすばらしい織物を作れる人がどんどん少なくなってしまうのは悲しいことだな……とは思いつつ、なかなか伝統技術が若い人たちに受け入れられる機会も少ないのかな、とも感じます。私自身、ずっと多摩に住んでいたのに、八王子織の存在を知らずに生きてきました。

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まだまだ、伝統技術を持っている人、知っている人はいます。それを若い世代が受け取ることは大事です。いきなりその技術を習得することはできませんが、まずは知ることが、始めの一歩です。存在を知ること、良さを知ることが大きな一歩なはずなんです。

実は、私が八王子織を知ったのは、ニューヨークから一時帰国している際に祖母の話を聞いたからです。祖母に「このあたりの伝統工芸って何かな?」と聞いたところ、「八王子は織物で栄えた町なのよ、昔は呉服屋さんがすごくたくさんあって……」と教えてくれました 。私にとっては祖母に話を聞くことが、地元の伝統工芸を知る第一歩でした。みなさんもおばあさまやおじいさまに聞いてみてはいかがでしょうか? ネットでは見つからない新しい発見がきっとあるはずです。

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