ホンモノの美しさは儚い? それとも永遠? 生花でできたハイヒール・ Pantoufle de Vert

2013. 8. 13
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美は儚きもの。永遠ならぬもの……。自然の美しさしかり。うつろいゆく儚かさも美しさの一部。そんな自然の美をそのままハイヒールにしたフォトグラフィーシリーズを発表したのは、フランスのクリエイティブスタイリスト・Julie Lavie(ジュリー ラヴィ)。イチゴに蔓、バラにトマトにアヤメに……ホンモノの花々が持つ美しさそのものを足下にまとって歩くなんて、とってもラグジュアリー。

彼女は、作品についてこのように語ります。

Pantoufle de Vert(パントゥーフル ドゥ ヴェール;緑の靴)は、ファッションデザインとフラワーデザインの世界を融合させることを目的に制作しました。

本来、花は散るもの。しかし、写真にその姿を残すことにより、永遠の時間を刻むのです。それでは、この作品の主体は「写真」なのか? それとも「靴」なのか? という疑問が生じます。
この写真は、靴なしでは成立しませんが、写真なしでは靴は枯れてしまいます。つまり写真とは、本来流れ消え去る「時」を、永遠にそのままに留め置く力を持っているものだといえるでしょう。

この写真の中で、花たちが何を訴えんとしているか。それは、ファッションとはこの世の理の写し鏡であるということ。すなわち、「ゆく河の流れは絶えずして」ということに他なりません。まるで花がいずれ枯れてしまうように、ファッションとは、時とともにいずれ儚く流れ消えてしまうものです。

これらの靴はどれも唯一無二の存在です。さまざまな花がシンフォニーを奏でます。花が持つ色のパレットは無限大で、どんな色も作り出せます。
ファッションも同じです。毎シーズン、多彩な色と造形に咲き乱れます。自然は、ファッションにそのインスピレーションを与えます。ファッションは、自然が有する無数の色やフォルムを取り入れて生まれます。しかし、これらの靴は「取り入れ」てなどいません。なぜなら、自然そのものだからです。その色と造形「そのもの」なのです。

花は生地のようです。薄くしなやかで儚い。それこそが美であり、価値をもたらすもの。その花弁は甲を包み、茎はかかとを支えるヒールになります。
バラ、アヤメ、ラナンキュラス、スイセン、ラン……それらはすなわち、シルク、シフォン、サテン、ヴェルヴェット、そしてオーガンジーです。
まるでシンデレラのガラスの靴と同じように、足にぴったりと寄り添うでしょう。

時の流れに感じる、後ろ髪を引かれるような、何度も後ろを振り返りたくなる気分。それがこの作品です。

そのほかの作品も、JulieさんのFacebookページからご覧いただけます。

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