「オーガビッツ プロジェクト」は、繊維専門商社の豊島株式会社(本社 名古屋市中区)が推進している、オーガニックコットンを通して、みんなで “ちょっと”ずつ地球環境に貢献しようという思いから始まった社会貢献プロジェクト。テキスタイルエクスチェンジ認証の高品質なオーガニックコットンを使用するのみならず、さまざまな社会貢献活動を支援するプラットフォームにもなっています。
これまでも、入院生活を送る子どもたちの病室を定期訪問し、遊びや会話を通じて子どもたちの成長を支援する臨床道化師クリニクラウンや、交通事情や貧困の問題により、環境に恵まれない子どもやハンディキャップを持つ子どもたちを積極的に受け入れているインドネシア・バリの学校のスクールバスに協賛・支援したりしてきました。
オーガビッツ×アーティスト・AKIのコラボ
そんなオーガビッツプロジェクトの今回ご紹介する取り組みは、支援ではなく「協働」。知的障害のあるアーティスト AKIさんと、ビジネスとして手を取り合い、デザイナー契約を締結したのでした。AKIさんの作品をあしらったアイテムを企画・販売し、その小売価格の3~5%がロイヤリティーとしてAKIさんの収入となります。素晴らしい才能を持つ障害者との取り組みはこれまでもいくつかありましたが、完全にデザイナーとして契約するのは類をみない話。障害者だからといって特別なことをするのではなく、一人のアーティスト/デザイナーとしてAKIさんとお付き合いするのです。
AKIさんの絵はヨーロッパではすでに高い評価を得ており、2008年スペイン国立「バルセロナ海洋博物館」にて「マザーフォレスト」が「金賞」と「日本・スペイン交流親善名誉作家」を受賞。2009 年日本・ギリシャ 修好110 周年記念展覧会にて「歴史」が「特別審査委員賞」を受賞しました。日本でもその才能は認められており、2010年24歳の若さで武蔵野美術大学(東京都)ゲスト講師として教壇に立っています。これまでの最高金額は15号の絵が180万ということで、かなり高額……。豊島では、「そんな実力あるアーティストの方とは対等に付き合うべき」という思いもあったといいます。
「これまでにない取り組み」のワケ
「日本ではアパレル関係の方が芸術に目を向けてくれることが少なかったと感じています。それはコストが掛かり過ぎるから。例えば、AKIの場合は使用する色数が多い。だから染色にすごくコストがかかります。その難しさがあるから、AKIはデザイナーとして要望に合わせて絵を描きおろししますが、服までたどり着かなかった絵もたくさんあります。でも、どこかで風穴を開けていかないといけない。今回の豊島さんの取り組みはすごく意味があることだと、感謝しています」と、話すのはAKIさんのマネージャーも務める父・昭(あきら)さん。
「反応はすごく良い。だけど商売にするのは難しい」と豊島の溝口量久課長も話します。「いかにAKIさんの素晴らしい画でも、単純にTシャツにして店頭に並べるだけでは他の多くのTシャツに埋れてしまい、魅力が伝わりません。一枚の服と店頭の展開を結びつけてストーリーを伝える工夫が必要です。ファストファッション全盛の今、そこまで踏みこんで商品開発に乗り出してくれるブランドさんに出合うのは簡単なことではありません」とも。
「pual ce cin」のオーガニックTシャツ
しかしやはりAKIさんの絵の魅力がホンモノだからこそ、じわじわとその輪は広がりつつあります。試験的にAKIさんの絵をワンポイントで使用したカーディガンは2週間で800着完売。今年も、ナチュラルスウィートカジュアルなブランド「pual ce cin(ピュアル セ シン)」からTシャツとチュニックが発売。
4月27日より全国の「pual ce cin」ショップ12店舗で発売開始。ぜひ直接手に取って、たくさんの温もりを感じてみて!
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