「ガラスでできた」という言葉を聞いて、真っ先に思い浮かぶもの。
それはやはり永遠のプリンセス「シンデレラ」の“ガラスの靴”ではないでしょうか。
今も昔も少なからず乙女心をつかんできた、ガラスのシンボル。
今回ご紹介するのは靴ではありませんが、同じく「ガラス」製で女子のハートを鷲づかみにしているアイテムです。
シンデレラはガラスの靴を“与えられて”ハッピーエンドを迎えましたが、今回ご紹介する工房の女性たちは、“自分たちの手で”、自らのきらめく未来を切り拓いているのです。
ご縁から広がる技術のバトンパス
LWFは東京本社のほかに、生産拠点が全国に6つあり、小高もその一つ。地方展開にはなにか意図があるのかと思いきや、根本さん曰く、出会いは本当に「ご縁」なのだとか。
例えば北海道の上川町ですが、ここは町役場の方が視察にいらして始まった工房。上川町は、冬の雪深い季節には仕事があまりないそうで、冬の間にできる仕事はないか探しておられました。たまたまLFWのことを知り、ぜひと手を挙げてくださったのが始まりです。
小高とLWFをつないだのは、あるワーカーさん。南相馬市で復興ボランティアをしていたワーカーの女性が、和田さんにLWFの取り組みを紹介したのがきっかけだと振り返ります。
しかし生産拠点が増える一方、課題となってくるのは、品質の担保。品質管理はどのようにしてるのでしょう?
拠点によって少しずつ違うのですが、基本的には代表のワーカーさんが東京に研修にいらして、学んだ技術を持ち帰り、ほかのワーカーさんに教えていく……という方法で技術向上を図っていますね。以前より品質面でお戻しする点数も減ってきています。
実際、いまでは細かなモチーフも難なくこなす小高のみなさんも、もともとガラス加工の経験はほぼゼロだったそう。苦労されたことを尋ねてみると……。
火の扱いに慣れるのが大変でした。慣れたな、と感じるまでに半年はかかったと思います。(岡本さん)
サイズどおりに作るのが大変ですね。一番長く勤めている佐川さんに教えてもらいながら、みんな覚えていったんですよ。(三浦さん)
ガラスの向こうに、透ける未来
手加工という技術継承、企業としての品質担保、ビジネスとしての利益確保……全てが絶妙なバランスの中で成長を遂げているLWFですが、設立4年目のいま、その売上は着実に伸びているといいます。
根本さんは、企業としてのビジョンを次のように話します。
個人的には、HARIOの食器と同じように、LFWのアクセサリーも、『そういえば一家に一つある』みたいなものになれれば良いと思っています。それぐらい、ガラスのアクセサリーが広がれば嬉しいですね。(根本さん)
企業として利益が生まれるということは、各地方の工房も潤うということ。
実際に新しい生活が始まった小高では、女性たちの仕事として着実に成長しているのが窺えました。
最後にみなさんのこれからの夢を聞いてみると、「オリジナル作品を作りたい」や「作家としてやっていきたい」といった言葉が。
「小高はもうだめだ」なんていう悲観的な言葉を聞くもことも少なくない中、地元の彼女たちのそんな言葉は、なににも勝って力強く響きます。
ガラスの向こうに透けて見えるのは、誰にも奪い取ることのできない未来。それは彼女たちが自らの手で作りあげ、自ら切り拓いていく未来なのです。
ガラスのきらめきを味方につけたいま、彼女たちがどう輝いていくのか。新しいアクセサリーとともにこれからが楽しみでなりません。
コメントを投稿するにはログインしてください。