モノ・アイデア・テクノロジーの相乗効果を生み出し、新しい価値を発信しているクリエイティブ集団が、新潟にいるのをご存知ですか?その新しい取り組みは、若者と高齢者、地域をつなぎ、伝統技術を継続させるアクションにつながっています。
それは、16年前に新潟の古町を拠点に、
彼らが手がけた“ヘタウマ”イラストのパッケージがアイコンになった、小さな金平糖のような和菓子「浮き星」も、デザインの力で伝統技術の継承にも成功した例の一つです。
伝統を新しいカタチに変え、新潟からモノやコトを発信するhickory03travelersの挑戦を、営業・企画チーフの
日常を楽しむ
16年前、代表の迫が大学卒業後、創業の志を応援する新潟市の企画に応募してチャレンジショップに出店、Tシャツにイラストをプリントし販売を始めたのがhickory03travelersの始まり。畳4枚、2坪ほどのスペースから始まりましたが、いまでは県外の仕事も幅広く手がけています。イラスト、グラフィックデザイン、ブランディングだけでなく、障がい者施設とのコラボ、アート関連の企画・開催、ひいては自社商品や新潟の自慢の品々などを販売するショップを運営するなど、手がける業務は実に多岐にわたります。
中でも、2004年からショップを構える上古町商店街の魅力を発信する活動は、興味深い取り組み。
年配の方々が執り行っていたお祭りや飲み会に、代表が『おもしろそうだ』と参加するうち、だんだん中心人物になっていきました。いま上古町商店街のイベントには、若者たちもたくさん参加しています。
上古町商店街振興組合の公式ウェブサイトを覗くと、若い人たちの熱気を感じるだけでなく、古いものを大切にしながらも新しい、個性的なイベントが並び、見ているだけでもワクワクします。
商店街は日常の生活の中で、人々が集まるところ。歴史はありながら、あまり人が集まる場所でなくなってしまった上古町商店街に、メディアやグッズのデザイン、アーケードの色彩を変えるようなイベントなどをデザイン。そうして新たな街「カミフル」として、街全体が楽しくなる変化を遂げ、徐々に商店街に観光客が訪れるようになったそう。
新潟のやさしい和菓子「浮き星」
代表は、新潟大学で社会学を学んで、情報発信を大切にする人。フリーぺーパーなどのメディアもやっています。同時に絵本にも興味があって、専門学校で絵本を学んだそうです。かわいいパッケージイラストは代表の意向でした。
そんなイラストが描かれた「浮き星」は、その雰囲気にぴったりマッチ。こんぺいとうのようでそうではない。「浮き星」は、もち米(あられ)に砂糖蜜をかけたお菓子です。
いただいてみると、甘みだけでないやさしい味わいがあります。飲みものやアイスクリームに合わせるとさらにおいしくなるというから不思議。味も柚子、コーヒーなど味のバリエーション豊かで楽しみが広がります。
このおいしさは、確かな技術が根底にあってこそ。このお菓子の元になったのは、新潟の伝統和菓子「ゆか
観光客で賑わうようになってから、新潟の伝統のお菓子だった「ゆか里」を自社のセレクトショップに置いていたところ、お土産として買っていく観光客が後を絶たなかったそう。
お客さんには好評なのですが、「後継ぎがいなくて自分の代で辞める」という話を明治屋さんから聞いたんです。そこで、デザインをし直す企画を提案し誕生したのが「浮き星」でした。
3代目の小林さんは、「浮き星」について次のように話します。
「浮き星」は、商品が売れるアドバイスをしてくれます。金平糖のように角があるカタチを均一にするのが難しいところで、それができたときには喜びがあります。
それでも、一日65kgほどしか作れない生産性が低い仕事は継承するのが難しいと考えていたところだったそう。
しかし、「ゆか里」の技術を守りたいという一心と、「浮き星」の生産も加わったことで、サラリーマンだった娘婿さんが転職し、4代目として跡を継ぐことを決心。小林さんも、娘婿が引き継いでくれたことを喜んでいました。
明治屋さんの売り上げが上がったことで、問屋さんの意識が変わり商品の価値を認めプラスのスパイラルができ、後継者もできました。営業の立場としては、技術の継承のお手伝いになったようで嬉しいです。
そう話す、澁谷さん。伝統ある職人の仕事をいまに生かす企画には、難しい面もありそうです。「浮き星」は、商品開発、ブランディングと近い事業をつないでいき、流通に乗せ少しずつ変化していきました。
これからも、hickory03travelersの得意を生かして、「浮き星」の新商品、OEMなどに挑戦し、伝統技術が継続できるような成功の事例を多く作りたいと思っているそう。トラベラーズという名前のとおり、旅するようにのフットワーク軽くて楽しい活動が楽しみです。
コメントを投稿するにはログインしてください。