1995年に誕生した純オーガニックコットン100%の専門ブランド「Made in Earth(メイド・イン・アース)」。
自由が丘のショップに集まる全国からのお客さま。その多くが買い求めるのが、合計35種類もある純オーガニックコットン製の「布ナプキン」。
1999年に発売して以来、18年間リニューアルを繰り返してきた「Made in Earth」の布ナプキンは、口コミで広がり大人気。聞けば、単に「トラブルが軽減した」という声だけでなく、「ライフスタイルが変わった」という声まであるそうです。
今年オープン10周年を迎えた自由が丘のショップで、創業者の一人である前田けいこさんに、18年の変遷について、そして布ナプキンの「見えない効果」について伺いました。
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前田けいこ
(株)チーム・オースリー取締役/メイド・イン・アースのブランドマネージャー/(社)日本アロマ環境協会認定アロマセラピスト。
1995年、縫製糸やネームタグに至る最終加工まで純オーガニック素材にこだわる『メイド・イン・アース』ブランドを立ち上げ。オーガニックコットン業界のパイオニアの一人。2014年から、MIE布ナプキンアドバイザー養成講座を開講。女性のカラダについての学びの場をつくり、心地よいライフスタイルの提案ができる布ナプキンアドバイザーを養成中。子どもたちの未来に価値あるものを残すためワークショップや講演活動にも力を入れている。そのほか、純オーガニックコットン素材をつかった製品のコラボレーションやOEM等も数多く手掛ける。
2つの大きな衝撃
―― 20年以上前にブランドを設立されましたが、当時はオーガニックコットンについて全く知られていない頃だったと思います。ブランドを立ち上げたきっかけはなんだったのでしょう?
「Made in Earth」を運営する株式会社チーム・オースリーは、もともと広告企画制作の会社でした。当時、子どもたちの未来に関わる仕事をしていきたいという思いがふくらんでいたときに、知人の紹介でベビー市場を研究する会社を訪問する機会がありました。そこで、宮嵜道男さん(※NPO法人日本オーガニックコットン流通機構・設立者)に出会い、オーガニックコットンについて教わったのがきっかけです。いまから24年くらい前のことです。
世代的にも母親に、「下着はコットン」と言われて育ち、「コットンはナチュラルで肌に優しくて、吸水性も良い」というイメージがずっとあって、好きな素材でした。でも、天然素材といっていても栽培時には大量の化学薬剤が使われていて、それだけでなく、糸や生地にするときにも薬品を使うために、全体ではすごく薬品漬けだと知って、びっくりして……!
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お店に置かれているオーガニックコットン。
最終製品まで薬品を使っていないオーガニックコットンを触らせてもらうと、すごく優しい。世の中のものは、知らないところでいろんなふうに作られていて、消費者は、こういう事実を知らないで使っているということが衝撃でした。それを「伝えたい!」と思い、自分たちで始めることにしました。この熱い思いは、自分で叶えたい! って(笑)。
―― 最初はタオルや寝具から始まった「Made in Earth」ですが、布ナプキンとしても先駆けて展開してきました。布ナプキンを作るようになった経緯は?
ブランドを始めて3年の1998年頃に、「布ナプキンはありますか?」って、お客さまから問い合わせの電話があったんです。本当に知らなくて、「ダイニングテーブルに置くアレですか?」って聞いちゃったほど(笑)。お話を伺うと、「デリケートな人は手作りしている」っておっしゃるんですよ。
これは人生で、二度目の衝撃でした。生理ナプキンって、ドラッグストアに売っているもの以外、知らなかったんですよね。
そのときはそれだけで終わったんですけど、「布で生理用ナプキン? 大丈夫かな?」って、ちょっと疑っていましたね。
翌年参加した環境系のイベントで、アメリカの布ナプキンが紹介されていたんです。そこで自分でも使ってみたら、ぜんぜん漏れないし、柔らかいし、すごく良くて、「みんなに知ってもらいたい!」と、製品化することにしました。
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それまで日本には流通していなかった布ナプキン。ほかのメーカーさんにも聞いてみると、示し合わせたわけではないのに、みな同時期くらいに作りはじめているという。「その方がほかの会社みんなに電話したのかなぁ……(笑)?」と前田さん。
自分流に自由に さまざまな布ナプキンの使い方
―― いまはバリエーションも14あります。どんなふうにラインナップを広げてきたのですか?
最初は、ホルダー生地をスナップで留めるだけのシンプルなものを、昼用・夜用と2種類作りました。当時は一体型のシンプルな作り。でも、摩擦の作用でズレたりもありません。
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最初の布ナプキンは、四角い布をスナップで取り付け、その内側にパッドを入れて使うものだった。
ただ、パッドを内側に入れるタイプだったので、少しコロコロして、「ナプキンが下着によってはヨレてしまう」という声があったんです。それで、5〜6年目にリニューアルして、当時の夜用を一回り小さくしたものを発売しました。
するとさらに人気が出たんですけど、やっぱりポケットがなかったので、次は「トイレでこれを落としちゃう」という声が続いて……。3回目のリニューアルで、ポケットを付けました。重ねたい人は重ねてもいいし、ポケットに入れたい人は入れてもいいし、この形にしてから使いやすくなりました。
いまいちばん人気の『リトル布ナプキン』はおりものシート。羽をスナップ留めるだけで、表裏使えます。午前中は表を使って、午後は裏に替えたりして使うのですが、持ち運びも便利で、ここからトライする方が多いです。
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天竺タイプとガーゼタイプの2種類があるおりものシート『リトル布ナプキン』は、2010年頃に初登場。「『1カ月に1回使うナプキンより、365日着けるおりものシートも大事』って、思って作ったんです」。
経血の少ない方なら、『リトル布ナプキン』を一回り大きくしてパッドが1枚入る『スリム布ナプキン』で、ある程度の月経時も十分という方もいます。
あんまり持ち歩きたくない人には、この三つ折りタイプをオススメしています。内側にタオル生地を入れたタイプで、折ってショーツに乗せるだけなのですが、汚れたらキレイな面に折り返せばOK。すると、少ない日なら着けっぱなしで済みます。
さらにパッドを足せば厚みも増しますし、工夫しだいで自分流に自由に使えます。
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「布ナプキンはたいへんそうで、めんどうくさがりの私には向かない」っておっしゃる方も多いですが、使った方には、「めんどうくさがりの方にこそ向いてる」と、よく言われます。自分の月経に合わせて自由に使えるので、便利なんですよ。
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「トライアルセットなど、いろんなタイプが入っているものから始める方が多いです。全製品入っているものが一番人気で、その中でいろいろ試すと、どれを買い足していけばいいかが分かります」と、前田さん。【布ナプキン基本8点セット(¥9,300+税)、提供:Made in Earth】
―― 一番びっくりした使い方はありますか?
この三つ折りタイプをクルクル丸めてお尻に挟むっていう使い方ですね。後ろ漏れするタイプの方のアイディアでしたが、「キュッとして全然漏れなくていいんですよ~」って。これは驚きました。
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経血が広がる方もいれば、後ろにつたって流れちゃう方。直線でショーツに出る方など、膣の位置が人それぞれなので、いろんなタイプの方がいらっしゃいます。ショーツのどの位置にパッドを置くかや、厚みなども含め、自分の「出方」に合わせて使えるので、本当に人それぞれですよ。みなさんの使い方を聞くのは、勉強になります。
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量が多い人の中には、三つ折りタイプで「拡張」させたりと、組み合わせて使うのも◎
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