女性にとって、いくつ持ってても欲しくなってしまうモノといえば、やはりバッグと靴。特にバッグは、いつも持ち歩く“宝箱”のようなもの。そんな宝箱を選ぶときは、機能性はもちろん、「自分らしいか」が大事ですよね。
自分というフィロソフィーを体現するバッグは、その作られ方もこだわったものがいい!
鮮やかな色使いが目を引く「SHRIYANI」のバッグ。インドの女性たちの声と思いを詰め込んだデザインに、パワーを感じます。そんな「SHRIYANI」のファウンダー・Sonal Sachdev Patelに、そのメッセージについて尋ねました。
大胆な色使いに加えて、特に目を引くの繊細な手刺繍の模様。これは、インドの職人たちの手仕事によるもの。「SHRIYANI」が素晴らしいのは、フェアトレードの取引でインドの職人、特に女性たちに仕事を創出するだけでないこと。
「SHRIYANI」はロンドンのランウェイ・イベント「the Rise on the Runway」を共催。その中で、2つの大きな社会問題にスポットライトを当てた。それは、若い女性の顔に硫酸などの酸をかけて火傷を終わせる“アシッド・アタック”と、人身売買である。
アシッド・アタック
アシッド・アタックが行われる主な動機には、地域紛争に加え、結婚の申し出や性交渉を女性が断ったことなどがあげられる。
アシッド・アタックの被害に遭った女性を支援する基金・Acid Survivors Foundation India (ASFI)によると、2015年にはその被害件数は500件を超えたという。しかし、報告されていない事件を含めるとその数はさらに増え、毎年1,000件超という専門家もおり、正確な数は明らかではない。
なぜ報告されないケースがあるかというと、それは被害者である女性が亡くなってしまうから。アシッド・アタックによる死は、田舎では珍しくない。特に、犯人が被害者の夫もしくは親族である場合、地域の人々が事件そのものを隠蔽しようとすることもあるという。
人身売買
インドが抱える最大の問題の一つ、人身売買。その人数は何千万にものぼるだろうと、複数のNGO団体は見ている。
インドでは、強制労働や売春に従事させられるべく誘拐される女性や子どもが後を絶たない。そして借金の返済に追われる人々は、性別や年齢に関係なく、レンガ釜工場や米工場、農業や刺繍工場などでの過酷な労働を強いられる。まさに現代の奴隷制度である。
なお、ファッション産業にはこうした背景から従事している人が珍しくない(*1)。
「SHRIYANI」は、この「現代の奴隷制度」から逃げてきた人々を保護するNGO団体とともに活動をしている。彼らの活動は、労働に対して適正な賃金を支払うのはもちろんのこと、一人の職業人としてクリエイティビティを発揮することも重視している。
また「SHRIYANI」は、著名な慈善活動家やビジネスオーナー、メディアとイベントを共催し、インドやイギリスで実際に被害に遭った女性をランウェイに起用。彼女たちが、私たちとなんら変わりない一人の女性であること、そしてその存在がひた隠しにされていることを知らせたのだ。
Sonal Sachdev Patelにインタビュー
なぜ女性への支援を重視するのか? 「SHRIYANI」の創設者・Sonal Sachdev Patelに、エシカルなファッションブランドを始めようと思った理由、またレーベルとしてどのようにサステナビリティを実現していくかを尋ねた。
「SHRIYANI」を始めたきっかけは?
とても個人的なきっかけなのですが、家族が慈善団体を運営していて、私は日頃から女性の地位向上と社会的立場の弱いコミュニティーの支援を行っていたんです。だから、弱い立場にある女性の声がいかにかき消され、どのように利用されてきたかを見てきました。
私たちが日々行う「モノを買う」という行動の背景に、こういった悲惨な出来事が起きてほしくない。もちろん女性だけでなく、男性も子どもも含めた全ての人をこんな状況に追いやりたくないーー そうした思いと、美しくデザインされた服やアクセサリーを纏いたいという願いが重なって、「SHRIYANI」というラグジュアリーブランドが生まれました。
ハイファッションと同じくらい、みんなが恋い焦がれるものでなければ、エシカルファッションはメインストリームになりえません。
パートナーとなるNGOは、どうやって選んだのですか?
私たちはさまざまなNGO、そして職人の方々をパートナーとしていますが、「SHRIYANI」は、立場の弱い女性とダイレクトに関わっています。だから、彼女たちのニーズに応える草の根団体とのみ仕事をしています。それが公平で純粋なパートナーシップを結ぶ唯一の方法だからです。
クラッチバッグは「Trésor」という工房とのコラボレーション。「Trésor」創業者のRicha Varunは、実際に職人たちと近い目線に立って仕事をしている人。ダイナミックな起業家で、手を抜くということを知りません。完成品からもその仕事ぶりを伺うことができます。
NGOでは、グジャラートにある団体を初めてのパートナーとして選びました。私の出身地であり、いまもなお強いつながりを感じている場所だからです。
「SHRIYANI」と、ほかのエシカルファッションブランドとの違いはなんだと思いますか?
「SHRIYANI」のデザインは。彼ら職人のストーリーを伝えるための役割を担っています。
例えば “The Lotus” は、濁った水が純化されていく背景を表しています。蓮の花が手の加えられていない泥水の中から生まれるように、人身売買の被害に遭った女性が、彼女自身の人生をたくましく立て直していくストーリーに基づいています。あまりにも辛い逆境にも負けずに成長し、咲き誇っていった女性の姿を私たちは見てきました。私たちは彼女たちの勝利を、デザインを通して祝福したのです。
また、「SHRIYANI」の職人は、在庫管理からパッケージデザインにまで幅広い仕事に携わっています。
コレクションとコンセプトに対して評判はいかがですか?
非常に好評です! 私たちは、お客さまがエシカルファッションについて知れば知るほど、なぜそのアイテムを買うのか、理由がはっきりすると思っています。
バッグをとおして「誰が」、「どんな女性が」このバックを作っているのかを知ることができる。加えて、デザインから製作までの過程を知ることもできる。こうした体験こそ、このブランドをより特別なものにしていくのです。
以前お客様に、こう言われたことがありました。『SHRIYANIのバッグを持ち歩くと、いつでも気分が良くなるの。だって持ち歩きながら背景にあるストーリーと職人についてもシェアできるから』って!
チャリティーとしてではなく、 ファッションブランドとして活動を始めた理由は?
私は、ビジネスは社会を変える重大な役割を担っていると信じています。どんな企業も、それぞれのサプライチェーンに責任を持ち、公正な仕事をするために立ち上がれると信じています。
私はファッションというビジネスを通して、社会的に弱い立場にある女性の声をすくい上げていきたいと思ったんです。
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