最近、本来ならば捨てられてしまう材料から作られる、魅力的なプロダクトが増えています。
「gleam(グリーム)」も、そんなブランドの一つ。麻布にあるショップには、木やドラム缶など廃材を使って作られた家具やインテリア雑貨が並び、まるで洗練されたアンティークショップのような佇まい。
麻布十番にあるショップ。2014年にオープン。
訪ねてみると、「gleam」ディレクター兼デザイナー、
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「gleam」ディレクター兼デザイナー、宇戸恒平さん。
生活に寄り添ってきたものにパワーを感じて
アジアン家具を専門に取り扱うお店に勤めていた宇戸さん。
バイイングのため、インドネシアを訪れたとき、解体された船や、家の柱が積み上げてあるのを見て、魅力とパワーを感じた、と振り返ります。長く人の生活に寄り添い、使われてきたものたち ーーこれらを素材に、新しい家具を作りたい。
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(提供:gleam)
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(提供:gleam)
そんな思いから2008年、同僚だった先輩スタッフとともに「gleam」を立ち上げました。
ブランドを始めた当初は家具中心の展開だった「gleam」ですが、いまでは同じく廃材を使ったインテリア雑貨なども手がけており、幅広いラインナップで展開しています。
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カヌーの木を使った、エイチケーフォトフレーム〈¥1,910+税〉
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使われなくなったドラム缶を裁断し、一つ一つ手で叩き出したドラムダストパン(チリトリ)〈¥2,590+税〉
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車やバイクのナンバープレートから作られたペンホルダー〈¥1,670+税〉
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ネットでは購入できない多肉植物も、ショップで販売中。
もともと持っている味わいを生かして
インドネシアなど東南アジアで集められる廃材には、明るい色の塗装がかすれて残っているものなどもあり、もともとの素材に味わいがあります。
わざと古く見せる加工を施している家具や雑貨もありますが、すでに経年変化しているものを再びプロダクトにすることが、カッコイイと思ったんです。古い素材の持つ良さを感じてほしいし、たくさんの人に見ていただきたいと思いました。
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シンプルな丸い座面と鉄脚を組み合わせたスツール・アイスツール〈¥17,320+税〉
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コーヒーテーブル〈¥39,730+税〉
これからも旅を続ける、旅する家具たち
名刺に目を落とすと、“旅する家具”という文字が……。
旅する……。廃材には、船やカヌーなど、実際に漁に出て人々の生活を支えてきた素材もあります。それらを使って作られた家具が、インドネシアから海をわたって日本にやってきて、日本でまた新しい家族とともに過ごしていく。そんな一つの流れのようなイメージです。
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舟のオールをイメージした取っ手を付けた収納付きデスク・オールデスク〈¥85,555+税〉、学校のイスをイメージした、プピルチェア〈¥21,559+税〉
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アートを感じる店内
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ドラム缶を裁断し叩き出したアイアンのランプシェード。
ドラムシェード〈¥8,555+税〉
古い素材には穴が開いていたり割れていたりするものもあって、サイズが大きい家具づくりには手間がかかります。きれいに平坦にすることもありますが、オーダー家具の場合は、お客さまと相談しながら、キズや割れ、穴などをそのまま残し、生かすこともあります。
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一番の人気はダイニングテーブル180〈¥117,149+税〉。
合わせて置きたいカヌーチェア〈¥26,490+税〉に、ボルチモアベンチ〈¥39,630+税〉。
なるべく現代のリビング、ライフスタイルに合うようシンプルに、と心がけているそう。生まれ変わり、さらに歴史を刻んでいく家具の新たな旅に、空想が膨らみます。
インドネシアの職人たちと
家具や雑貨は、インドネシアで解体された素材を厳選し、全て現地で作り上げているもの。木の工場、鉄の工場、照明に使われているドラム缶の工場など、数社の契約工場があり、分業制でそれぞれの職人さんが手作業で家具を作っています。
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(提供:gleam)
インドネシアの職人さんたちとは食事をしたり、無駄話をしたりしながらコミュニケーションを取っているそう。しかしときには、なぜ古い廃材を使うのか分かってもらえず、苦労したことも……。何回もサンプルを作り、対話を重ねることで乗り越えてきました。
文化が違うので、ニュアンスが伝わらないこともあります。小さな苦労は継続中ですが、現地の人と仕事するのが好きだから、楽しいですね。
「gleam」が提案するもの
ブランドを立ち上げた当初は、『新しい木材で家具を作ることを否定しているのか』と、言われたこともありました。そうではなくて、「廃材を使う」という新しい提案をしたかったんです。単純にそれがカッコイイと思っただけ。自分たちのスタイルなんですね。
もともと古いものが好き。新しいけど懐かしさを感じるものが好き。歴史を感じられるような質感が好き。木と鉄の組み合わせが多いのは、木も、鉄も好きだから。
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鉄製の取っ手、いろんな種類やカタチが以前使われていた用途を想像するのもおもしろい。
そう話す宇戸さんは、「ただ自分たちが好きなものづくりをしているだけ」とも。
デザインやモノは進化しますが、利便性だけを追求する必要はないですよね。便利なものはたくさんあるけれど、それだけではあまりおもしろくないと感じます。
大好きなものを集めて生まれた、インドネシアからやってきた古くて、新しいプロダクト。そんなモノたちに囲まれていると、温かくて優しい気持ちになってきます。
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