「突然街中に出現する本屋・劃桜堂」の大野がお届けする、すこぶるいいかげんな本の紹介。
いつの間にか、日常に「本」が忍び込んでくる……。
男性にはできないことが2つある。
①女性に口論で勝つことと、②美人をナンパしないことである。
上記の理由を理系出身(卒論は微分方程式)の筆者が解説する。
・男性は女性に口論で勝つことができない
→自明より。(証明終わり)
・男性は美人をナンパせずにはおれない
→自明より。(証明終わり)
そして本には無限の可能性がある。
女性に口論で勝つことはもちろんできるようにはならないが、美人をナンパをできなくすることはできる。
そんなわけでどんな美人でもナンパされなくなる本を紹介する。
自殺よりはSEX―村上龍の恋愛・女性論
村上 龍(著)、ベストセラーズ、2003年01月
本を手に取るにはある程度タイトルに共感する必要がある。
この本は装丁がたいへんすばらしく、赤い表紙に赤い文字でタイトルが書いてある。
街中のオープンテラスのカフェで女性が赤い本を読んでいると、とても絵になる。
ふらふらっと引き寄せられるはずだ。
あなたは彼女に声をかけるシーンを想像する。
一緒にお茶をして、そのままBarに入り、バーボンやカクテルを飲むかもしれない。そしてそのままホテルに……。
そこまで妄想したところであなたは気づくだろう。「自殺よりはSEX」というタイトルに。
「自殺よりはましかな」とホテル前で言われるシーンを想像する。
むしろ死にたくなる。
元銀座No.1ホステスの心理カウンセラーが教える 彼の心を動かす「話し方」
水希(著)、廣済堂出版、2011年8月
合コンの美女は、ハンターだ。あらゆる手を尽くして、軟弱な男からあれこれ吸い上げる(偏見)。
健全な本屋は、決して彼女たちの手には引っかからない。
合コンの場で、筆者は心を固くする。
「本屋さんがいま読みたい本は?」 美女は訊くだろう。
「『本屋と美女』かな。本屋がいかに美女から身を守るかの本らしくて」
相変わらずいいかげんだ。むしろ、ありもしない本だ。
「おもしろそう! 私も読んでみたいな。さすがいろいろ知ってるんだね。今度いっしょに本屋行ってほしいな!」
通常の会話ならここで誘いの言葉が入るはずだ。しかし! 私は本屋である。その手には乗らん。話を変えようと、筆者は息を吸い込む。
しかし、間髪入れず、美女は二の句を継ぐ。「ところでね、私は◯◯が好きで〜〜」
なに? 誘わないのか?
そう。元銀座NO1ホステスは言う。ここですぐに具体的な約束はしなくて良いと。ただ仕込むだけで良いと。男と女のラブゲームは長期戦なのだ。
合コンが終わった真夜中、肩透かしをくらった美女からL◯NEが届く。
「ちょうど図書カードがあるから、本いっしょに選んでほしくて。☓月◯日、空いてませんか?」
このタイミングと言葉の並びにも、元銀座NO1ホステスのテクニックが隠れている。
トイレの話をしよう 〜世界65億人が抱える大問題
ローズ ジョージ(著)、大沢 章子(翻訳)、日本放送出版協会、2009年9月
男性は頭の中が比較的お花畑だ。
だから、女性との出会いに運命やドラマを求めている方も多い。
さて、意を決して声をかけて開口一番言われた言葉が「トイレの話をしよう」だった場合、きっと「そんなドラマは求めてない!」となるはずだ。
本書の内容はナンパ撃退については一切触れられていない。大真面目なトイレ本である。
日本はトイレに関してたいへん恵まれた国であり、トイレが元となる問題があること自体想像もできない人が多いと思う。
お腹が弱い本屋を代表して「問題はトイレで起きているんだ!」と高らかに叫びたい。
カースト制度のために糞尿を運ぶ仕事しか許されない人々がいるのをご存知だろうか。
ナンパをする前に、まずトイレの話をしよう。
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