【インタビュー】「FREITAG」創業者・Markus Freitagの“自転車のある生活”に育まれたブランドのフィロソフィー

2016. 10. 18

1993年、スイスのチューリッヒに誕生した「FREITAG(フライターグ)」。リサイクルしたトラックのほろやシートベルト、自転車のインナーチューブを素材に使用した、水や油などの汚れにも強いメッセンジャーバッグが、彼らの代名詞だ。

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(提供:Freitag)

機能性とファッション性を兼ね備えたデザインは、ブランドを設立したMarkusとDanielのFreitag兄弟の、幼少期からのリアルなライフスタイルから生まれている。

アジア初の旗艦店として銀座にオープンした「FREITAG Store Tokyo Ginza」が5周年を迎え、Freitag兄弟の兄・Markus Freitag(マーカス・フライターグ)が来日。「運転免許証も持っていない!」という生粋のサイクリストであるMarkusに、スイスでの子ども時代から、いま気になることまで教えてもらった。

―― 生粋のサイクリストとして有名ですが、今回自転車は持ってきたんですか?

今回は持ってこなかったんだ。今日のランチはラーメンを食べに行ったけど、それも歩いていったよ。餃子がおいしかった〜!

日本にお店を開くときのロケハンでは自転車が大活躍するよ。

Markus Freitag 「FREITAG」創業者。 1993年、スイスのチューリッヒに弟・Danielとともに「FREITAG」を創業。ブランドの設立前は、空間デザインを手がけていた。サイクリストであり、父であり、スノーボーダーでもある。

Markus Freitag(マーカス・フライターグ)
「FREITAG」創業者。
1993年、スイスのチューリッヒに弟・Danielとともに「FREITAG」を創業。ブランドの設立前は、空間デザインを手がけていた。サイクリストであり、父であり、スノーボーダーでもある。「今回の来日では、別府で温泉に入るのが楽しみ。次は、北海道まで行ってスノーボードをしたいね」

―― 「FREITAG」の代表作であるメッセンジャーバッグは、もともと自転車便ライダーたちのためのバッグでした。きっと、あなたが自転車好きであることに由来するのだと思いますが、自転車に乗り始めたのはいつから?

僕が16歳のとき、スイスで環境汚染が問題になった時期があったんだ。学校でも先生が、森が死んでいるのは、地球温暖化のせい。地球温暖化は、産業によって排出されるエネルギー・熱が原因だ、と話していたのを覚えているよ。

うちではちょうど車を新調しようって話になっていたんだけど、「学校でこういうことを習った。新しい車を買うのはやめよう」って、僕とDanielで両親に言ったんだ。

それで、家族会議の結果、新しい車を買うのはやめて、公共交通機関と自転車が我が家のメインの移動手段になったんだ。だから僕はいまでも運転免許証を持っていないんだよ。

スイスは東京みたいに公共交通機関が発達していて、全く不便がないんだ。それに、自転車はすごく楽しいからね。

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―― 子どもの頃からサステナビリティへの姿勢が一貫してるのですね。Freitag兄弟は、なぜサステナビリティに興味があったのでしょう?

そういうふうに育ってきた」としか言いようがないかなぁ。

Danielと僕はチューリッヒ近くの街で育ったんだけど、両親がモノを大切にする人たちだったんだ。生ゴミはコンポストで堆肥にしていて、野菜や果物の皮や芯が堆肥に変わっていくさまを見るのが、子ども頃は不思議で楽しかった!

あと、拾ってきた木片や金属片なんかを組み合わせて新しいおもちゃも作ってたな。いまでいう、「リサイクルプロジェクト」だよね。ミニカーやボート、家具を作ってたね。ティーンネイジャーの頃もやってたな。僕らの家には庭に大きなスペースがあって、そこが自然のスタジオだった。両親が持ってくるゴミをあれこれいじってた。そうやって遊んでいたんだ。

だから、そういうプロジェクトをもっと大きなスケールでやってみたいなとつねづね思ってたんだ。

―― 1993年の創業から、すでに20年以上が経ちます。創業当初といまとで、「リサイクル」「サステナビリティ」への関心は変わってきていますか?

もちろん。関心はだいぶ高まっていると感じているよ。どういうふうに作られた製品なのか、気にする消費者も増えた。

作る側にとってもノウハウが増えたし、「どんどん作ってどんどん売ろう」っていう雰囲気ではなくなったと感じるな。少量でも良いものを作ろうっていう雰囲気が強くなってきたよね。

サステナビリティへの関心は「食」から始まり、やっといま「衣」にも及んでいる。まだいろんなことが「始まったばかり」の段階だね。

僕自身も、自分の体に入れる食べものはどこで誰が作っているものか、気になるほうかな。

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FREITAG渋谷店にて。

FREITAG渋谷店にて。

―― 最近では、完璧にエシカルなサプライチェーンを目指して作られた「FREITAG」のアパレルコレクション。素材は全て自然に還る素材で作られており、生産は全てヨーロッパ内で行われています。これを実現するうえで、最も難しかったことは?

ボタンやリベットなんかの副資材を見つけることかな。

オーガニックコットンを使っていても、副資材がエコじゃないものってとっても多いよね。

ボタンは、木で試したり、木の実で試したり……すると色が思うものと違ったり……。だいぶ苦労したよ。あと、下請け業者が多い産業だから、素材の出自をトレースしていく作業もたいへんだった。

やっぱり、海外で販売していくということは、それだけ輸送における環境負担がかかってしまうから、本当は、日本で販売するなら日本で生産したいんだ。

サプライチェーンをクリーンかつトレーサブルにしていくのは非常に難しいけど、「『FREITAG』がやったんだからできる」って、ほかのブランドの人たちも思ってくれたら嬉しいな。

―― アジア初の旗艦店「FREITAG Store Tokyo Ginza」もできて早5年。あなたの目から見て、東京/日本は変わってきていますか?

東京はいつでも、新しいトレンドの生まれる場所。日本に初めて来たときも、素晴らしい上質なアウトドアグッズがすでにたくさんあったのを覚えているよ。

日本の消費者は質を重視するし、細部へのこだわりもちゃんと見てくれる。日本に来るたび、その姿勢が変わっていないことがいつもうれしいんだ。

東京は、高層ビルのすぐそばに、古い平屋があったりして、最新のモノと古いモノが混在している街。そのコントラストが僕はすごく好き。このまま、変わらずにいてほしいな


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―― 先ほど食べものにも気を使うほうと言っていましたが、好きな食べものは?

好物があるというより、ファーマーズマーケットで買うのが好きなんだ。スイスのファーマーズマーケットもだいぶ少なくなっちゃった。

チューリッヒのファーマーズマーケットに行けば、僕に会えるかも! Oerlikon(オーリコン)のファーマーズマーケットは、「FREITAG」のオフィスの近くなんだ。

あと、Helvetiaplatz(ヘルベティア・プラッツ)、Bürkliplatz(ビュークリ・プラッツ)でもやっているよ。

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―― アウトドアは、「FREITAG」の一つのコンセプトでもありますが、ご自身の休みはどのように過ごすのが好きですか?

海外旅行はしばらくやめようかなって考えているところ。
遠方になればなるほど、二酸化炭素の排出量が増えるっていうのもあるけど、母国のスイスは本当に美しい国で、家族でスイス中を周りたいんだ。これから10年くらいはそうしようかなって思ってる。

自転車はその旅にはぴったりだよね。

一般的に、スイスの企業では4〜5週間の夏休みがあるんだけど、僕は「社長さん」だから、休みを取りたいときに好きなだけ取れるはずだし……(笑)!

―― 羨ましい……! お気に入りの自転車は?

僕は3つ自転車を持っているんだけど、やっぱり折りたたみ自転車が一番! 簡単に電車に乗れるからね。

そういえば、15年前に初めて「良いな」と思う折りたたみ自転車を見かけたのも、東京だったな。

あとはマウンテンバイクとロードバイクを持っているよ。

―― では最後に、いまいちばん興味を惹かれていることを教えてください!

なんだろう。家族で遊ぶことも好きだし、アートや音楽、建築でも気になっていることはたくさんあるけど、やっぱりものづくりのことを考えているのがすごく楽しいんだよ。「どうやったらこれを少しでもエコにできるかな?」「どうやったらいまある社会問題を解決できるかな?」って、リサーチしたり試行錯誤したりしている時間がいちばん楽しいし、興味があるかな。

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FREITAG Store Tokyo Ginza

Address:〒104-0061 東京都中央区 銀座1丁目13-12
Open Hours:11:00~20:00
Tel:03-6228-6142
Website:http://www.freitag.ch/

★FREITAG Store Tokyo Ginza 5周年記念メガシティ用バッグ「F204 COOPER」が発売

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Freitag兄弟が初めて来日した1996年に、築地市場で見た氷を入れるバッグにインスピレーションを受けてデザインされたシリーズが再登場。容量約23リットルのマルチユースなメガシティバッグは、グリップと調節可能で収納可能なショルダーが付いており、持ち運びがしやすい仕様になっている。価格は、29,000円(税抜)。

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