スマートウォッチのように、モノに通信機能を持たせる「IOT(Internet of Things)」が広まってきました。この技術がいよいよ「服」にも応用されることに!
Googleと「Levi's」が、洋服をウェアラブルデバイス化させる「Project Jacquard(プロジェクトジャカード)」を発表しました。
※ウェアラブルデバイス=直接身に付けるコンピュータ周辺機器
「Levi's」のユニセックスのデニムジャケット。シックなネイビーにナップボタンで、カジュアルなシャツ感覚で着られそうですが、レザーのタグがラグジュアリーな雰囲気を醸します。デニムジャケットの袖口を、タップやスワイプしてスマートフォンを操作するもので、導電性の糸と衣類に縫い込める超小型電子部品が使われているそう。
許諾を得て掲載
このデニムジャケットは洗っても大丈夫。素材開発には、澤井織物工場(東京都八王子市)など日本の数十社が協力しているそう*1。
そこで、伝統工芸の多摩織の技術を守り、継承している澤井織物工場の4代目で伝統工芸士の
八王子市では500年ほど前から養蚕が奨励されており、「多摩織」という絹織物が作られていたという歴史があります。
江戸時代には、地の利もあって
その後多摩織は、昭和初期から戦後の着るものがなかった時期に急成長。しかし大量生産の時代に入ると合成繊維が台頭し、昭和35年以降衰退していきます。多摩織を含め、天然素材を使った手仕事で、手のかかる伝統工芸品は、平成から売れなくなってしまいます。
澤井織物は、昭和11年頃の先々代は「つづれ織」を、昭和45年頃の先代の頃には「お召し」(※
今回採用されたのは、伸縮性がある組紐の技術でした。
弊社では、昔からシンプルで緻密な絹の組紐を作っていました。組紐には伸縮性があり、現在ではこの組紐でいろんなアレンジができるのです。
伝統工芸を織る技術は根底にある基礎的なもの。しかし売上を安定的にあげられる商品にはならないので、それだけで続けていくのは難しいのが現状です。会社としても、いろんな切り口を持っていないと。
ベースを守り、技術をなくさないためにいろんなことに挑戦しています。20年前からオリジナルのマフラー、ストール、ショールを作っていますが、メインは受注生産です。素材の提案をして、商社やアメリカ、フランスのメゾンから直接注文をいただくときもあります。
日本の有名ブランドやデザイナーとのコラボも行い、着実に知名度を上げています。また、多摩織を日本の伝統工芸品とする国のバックアップもあり、英文のガイドブックに紹介されていることと併せ、工房見学や手織り体験には、観光から足を延ばしてアメリカの大手デザイン会社のCEOも見学に来たことがあるそう。イギリスのバッグメーカーやアメリカのブランドからも、毎週のように申し込みがあるといいます。
日本に昔からあった織物の技術は、いままでにもいろんな分野で生かされてきました。例えば、絹で作られた伸縮性がある細い組紐は、手術の縫合にも使われています。
こうした異業種での応用を生かして、またファッションでも新たな試みが期待されます。ファッションを通じて、健康や情報管理、災害時の情報発信、障害を持つ人のサポートなど、たくさんの可能性を秘めています。
多摩織に限らず伝統工芸は、新しい技術を取り入れる挑戦が必要です。澤井織物としても、いろんな用途に使える機能性の高い、国産の天然繊維を開発していきます。
澤井さんのお話と「Project Jacquard」に、伝統技術とファッションの新たな可能性を感じてワクワクが止まりません!
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