「平和」なんて実現できるのだろうか。
2016年8月15日で、日本の終戦から71年が経ちました。日本はこの71年間、武器を交えた戦争・紛争が起きることなく過ごしてきましたが、世界を見わたせば、常にどこかで武器を交えた殺し合い、奪い合いが起きています。
「平和の実現」を多くの人が望みながらも、そんなことは「絵に描いた餅」で不可能なのではないか……。
そんな虚無感や絶望感に襲われたことがある人に、ぜひ一度観てみてほしい映画が『ザ・デイ・アフター・ピース』です。
イギリス出身の俳優ジェレミー・ギリは、ある日、ニュースを眺めながら疑問に思います。
なぜ人は殺しあうのだろう?戦争や紛争はなくならないのだろう?
「365日のうちの1日、戦争や紛争、あらゆる暴力のない日をつくろう!」と思い立ったジェレミー。
過去のノーベル平和賞受賞者たちに手紙を送ったり、各国の重要人物と面会をして話をしたり、さらに国連に乗り込んで、このアイディアを訴えかけます。
そして、2001年9月7日。ついに、毎年9月21日を「国際平和の日(ピースデー)」とすることが国連で採択されます。
その4日後の9月11日の朝には、ニューヨーク国連本部の広場でピースデー制定のセレモニーが開催されることになりました。
……そう。それは、ワールド・トレード・センターに2機の飛行機が突撃した日。アメリカ同時多発テロ事件が起きた朝でした。
ピースデーの始まりは、それがまるで不可能であることを暗喩するかのような皮肉なスタートでしたが、ジェレミーはその後も、紛争地に赴いてピースデー当日の停戦を呼びかけたり、大企業やセレブリティを巻き込みながら、世界的に「ピースデー」の認知度を高めることに、奮闘します。
『ザ・デイ・アフター・ピース』は、そんな彼の約10年間の軌跡を収めた作品です。映画の雰囲気を予告編で一部、味わってみてください。
たった1日の停戦がもたらすもの
ピースデー。365日のうち、たった1日だけの停戦。
それは一見小さなことのようですが、そのもたらす効果は、実はたくさんあります。
例えば、戦闘地域から逃れられずにいる一般市民に、病気の治療や予防接種を行えたり、不足している食料や物資を届けることができます。また、離れ離れになってしまっていた家族が再会する機会や、常時緊張状態にある兵士たちの安息の時間ともなります。
そんな1日が生まれれば、「平和」のありがたみや意義を心から実感し、戦闘意欲が低下したり、平和を希求する思いが強まったりするのです。
暴力の渦中にない私たちこそ、声を
……とはいえ、紛争地のことは、「平和」な日本にとっては、遠く関係のないことのように思えるかもしれません。しかし、そんな気持ちに、ジェレミーは次のように反論します。
よく言われるんだ。「あなたがピースデーについて伝えるべき相手は、ガザやソマリア、アフガニスタンにいる人たちではないのか」と。でもそれは違う。彼らはすでに「変えたい」という気持ちを持っている。「チェンジ」を求めている。僕が本当にメッセージを伝えたいのは、住む場所や食べる物がある「あなた」なんだ。世界を変えられる立場にいるあなたに「チェンジ」を起こして、世界を変えてもらいたいんだ。
この言葉に触れたとき、私は全身が震えました。
大学時代にアラビア語の研修で訪れたシリアは、私の帰国直後、内戦状態に。思い出の場所が破壊されたり、友人たちが難民状態になったりしていました。
「シリアのためになにかしたい!」という思いが溢れる一方、「わずかな時間を過ごしただけの自分に、なにができるのだろう?」という葛藤がありました。
しかし、ジェレミーの言葉に触れて、ハッとさせられたのです。
確かに、現地にいる友人たちは、誰も戦い続けることを望んでいないように思えるけれども、もはや自分たちで止めることができない状態になっていること。そして紛争状態が続いている背景には、周辺諸国の利害関係に基づく思惑があることに気づいたためです。戦いを止めるには、紛争や戦争の渦中にいない私たちこそが、声をあげ、監視の目を持つべきではないかと……。
ピースデーをもっと! 国際平和映像祭
世界各国ではピースデー当日に、平和を願い祝うさまざまなイベントが開催されていますが、日本ではまだまだ認知度が低いのが実情です。日本でももっとピースデーを知ってもらおうと、弊社ユナイテッドピープル代表の関根が主体となって立ち上げたイベント・国際平和映像祭(UNITED FOR PEACE FILM FESTIVAL)は今年で6年目を迎えます。
国際平和映像祭は、「平和」をテーマにした5分以内の映像を世界中から募集しているフィルムフェスティバルです。平和を願う世界中の若者が、映像によって互いを知り、国を越えたつながりを持ってほしいという願いから始められ、これまでに、様々なバックグラウンドの人たちの映像が寄せられてきました。
過去のファイナリストの作品は、コチラからご覧いただけます。
2016年の作品募集はすでに終わっていますが、ピースデー当日である9月21日の夜に前夜祭、9月22日に審査会とセレモニーが行われます。
詳細は近日中に国際平和映像祭のウェブサイトやFacebookぺージでアップされる予定です。
ぜひ一緒に日本でのピースデーを楽しみ&盛り上げにいらしてください!
コメントを投稿するにはログインしてください。