デリケートな服は全てクリーニング……でOK? 「THE LAUNDRESS Cleaning Lab.」に学ぶ服のお手入れのキホン
シルクのワンピースにスーツ……デリケートな服の多くは、洗濯絵表示が「ドライクリーニング」「水洗い☓」になっています。
そんなとき、きっと多くの方が利用するドライクリーニング。実は、食用油・口紅・ボールペンなどの油性の汚れには有効ですが、生活の中でつきやすいワインや汗などの水溶性の汚れは、水洗いでないと落ちないのです。
そこで、服にこだわる人のための衣類用洗剤のブランド「the Laundress(ザ・ランドレス)」が2011年から始めた、水洗いのクリーニングサービス「THE LAUNDRESS Cleaning Lab.(ザ・ランドレス・クリーニング・ラボ)」。
縮んだりシワシワになったり……という、水洗いのトラブルを解決しながら1点ずつ丁寧にメンテナンスするというこのサービス。実際にどんな作業をしているのか、現場を訪ねてみました。
今回、作業の様子を見せてくれたのは、「THE LAUNDRESS Cleaning Lab.」のメンテナンスを担当する株式会社トゥトゥモロウの内野幸代さん。
この日は、ビジュー付きのドレスワンピがオーダー。
ビジューが付いていると、洗濯すると取れてしまうんじゃないかと心配になるもの……。
しかも、このワンピは袖がシルク。シルクは自宅で水洗いすると、細かくシワが寄ってしまったり、日に当たって黄変したり。デザインによってはアイロンが掛けられないモノも少なくありません。
メンテナンスはカルテづくりから
メンテナンスの手始めは、カルテづくり。素材や寸法など、預かった時点での状態を記録し、カルテに書き込んでいきます。
気づいたところがあれば、お客さまに確認。危険性などがあれば、この時点で説明します。お客さまからOKが出たら作業開始!
素材と汚れに合わせて最適な洗剤を使用するのが、このサービスの特徴の一つ。今回使用するのは、シルクやレースなど、繊細なアイテム用の「デリケートウォッシュ」です。
特別の専用洗濯マシン
洗剤をワンピに吹きかけたら、ここからが本番!
「THE LAUNDRESS Cleaning Lab.」専用のスペシャル洗濯マシン「ハイブリッド・ウェット・クリーナー」の登場です。これは衣類を動かさずに洗うことができる、というもの。
ん……? 動かさずに洗うと、どういう効果があるの……?
株式会社トゥトゥモロウの坂田知裕社長は、「衣類に掛かる負担を最小限に抑えられる」と言います。
汗やジュースなどの「水溶性の汚れ」は、水洗いでないと落ちません。水洗いでは、家庭用も業務用も、洗濯機のドラムで回して、繊維をこすり合わせたり、衣類を引っ張ったり叩いたりして洗います。しかし、水洗いの最大の難点である型崩れや縮みは、回すことによって起きるんです。
そこで、回さずに洗うことを可能にしたのがこの機械です。
洋服1点ずつ、それぞれに合ったケアを
そもそも、洋服のケアアイテムを展開する「the Laundress」がこのサービスを始めた背景には、《洋服は1点ずつ、それぞれに合ったケアが必要》というフィロソフィーがあったから。
その思いから、今回使用した「デリケートウォッシュ」以外にも、白い衣類用、濃い色の衣類用、ベビーならではの汚れに強い洗剤や、デニム専用洗剤など、汚れと素材に合わせて細かく対応したケアアイテムを展開しています。
使用している素材や縫製、付属品、染色状態、加工状態。また、汚れの状態によっても最適な処理は変わります。それぞれに合ったケアをしないと、落とせる汚れも落ちなかったり、仕上がりも変わってきてしまいます。
と、内野さん。
いったいどういうことなのか、一般的な生地の性質と洗い方をおさらいしてみましょう!
汚れと素材の性質を知ろう!
まず抑えるべきは「汚れの性質」と「素材の性質」。
汚れは、大きく3つのタイプに分けられ、それぞれ洗い方が変わります。
- ・水溶性の汚れ(汗、尿、血液、醤油、ジュース、卵白など)→水で洗う
- ・油溶性の汚れ(皮脂、食用油、機械油、口紅、接着剤、卵黄など)→油(石油系の有機溶剤)で洗うドライクリーニング
- ・不溶性の汚れ(泥、粘土、砂、すす、ほこりなど)→揉んだりこすり合わせたりなど、「機械力」で洗う
しかし、実際の汚れは、これらが組み合わさっていることがほとんど。また、素材によっても性質が異なるため、汚れに合わせて処理するだけではキケンです。
コットン | 水・熱・アルカリ・酸性にも強く、比較的丈夫な衣類。ドライマークがあるときは、染色が弱い場合が多く、色移りなどのトラブルが頻発。洗うとシワが伸びにくく、脱水時の力かげんが重要。 |
麻(リネン) | 水に強いものの、日光・汗などによる色落ちが発生しやすい。シワは、アイロンを掛けても直しにくいので、シワを少なく洗うようにする。 |
ウール | ドライマークの代表格。水で洗うと、繊維表面の〝スケール〟と呼ばれるうろこ状のものが開く。揉むことでスケールが絡み、縮んだり硬くなったりするため、自宅で洗濯できるが、その場合は動かさないことが基本。またはスケールの開きを抑える働きがある洗剤を。アルカリ性にも熱にも弱く、60℃以上の水では洗わない。 |
シルク | ドライマークの代表格。毛羽立ちが発生しやすいデリケートな素材で、アルカリ性・熱に弱く、80℃を超えると溶けはじめる。 |
レーヨン/キュプラ | ドライマークの代表格。レーヨンは水に濡れると繊維が膨れ、太さが増して縮んでしまう。水に漬けても、縮みきる前に洗うよう工夫すれば、自宅で洗濯可能。キュプラは、脱水などでシワが発生すると伸びにくいので注意を。 |
「綿50%、絹50%」のような
1点のお洋服をケアするために、これだけの知識とコツが必要。自宅で洗えるとしても、実際にやるのはたいへんです。
「洗うときだけでなく、乾燥工程やアイロンワークにも知識や・コツが必要。やっぱり大切な服はプロに任せてほしいですね」と、内野さんは言います。
大切な服こそ「1点ずつ」
多くのクリーニング屋さんでは、それぞれの汚れ・素材に合った方法で処理しています。でも、通常どおり出しても1点ずつは見ないのが一般的なクリーニング。
一方「THE LAUNDRESS Cleaning Lab.」ではフィロソフィーに基づき、それぞれの状態や汚れに最も合った処理をすべく、1点ずつカルテを作っています。
カルテは2年間保管され、どのような処理を行ったのかなどの詳細を、後から確認することも可能。オーダーしたお客さまも、ウェブサイトのマイページから、いままでの処理や連絡のあった注意事項などを確認でき、自分の服の状態をよりよく知ることができます。
安心の技術と衣服にやさしい洗剤で、1点ずつ丁寧に洗うこのサービス。
汗が気になる夏こそ水洗いの季節。あなたの大切な1着も、プロの技術による水洗いでサッパリさせてみては?!
THE LAUNDRESS Cleaning Lab.
Website: http://laundress.jp/lab/
お申し込み: https://www.takuminuki.com/laundress/lab/order/index.html
対応製品:ジャケット(¥2,900)、スーツ(¥3,900)、ワイシャツ(¥500)、ダウンコート(¥4,900)、浴衣(¥2,500)など。3点までオーダーできる「ランドレスパック」は、¥6,800。別料金で、防虫加工、毛玉とり加工、撥水ガード加工(各¥500/点)もオプション可能。
※上記価格は全て税抜きです。
※お客さまからのメンテナンス了承後、10日以内に発送。
※スーツは、ジャケット・パンツ(スカート)と別扱い(2点扱い)になります。
※上記に記載がない衣類、お預かりできない衣類については、こちらでご確認ください。
※「the Laundress」の店頭での受渡しは、料金が異なる場合があります。事前に各店舗でご確認ください。
「THE LAUNDRESS Cleaning Lab.」世界100以上の企業の中から総合6位評価
「THE LAUNDRESS Cleaning Lab.」は、国際テキスタイルケア連盟(International Committee of Professional Textile Care : CINET、本部・オランダ)が行う表彰制度「CINET世界最高実践賞」で、2016年度イノベーション部門第5位、総合6位にランクインしました。
CINETは、世界22カ国27のクリーニング業界団体、13ヵ国35の機材メーカー・研究機関で構成される国際的なクリーニング産業国際連合組織。2016年度から同連盟がスタートした「CINET世界最高実践賞」は、〈品質管理〉〈新しいビジネスモデル〉〈イノベーション〉〈持続可能性〉〈企業コンセプト〉の5つの観点から、世界のテキスタイルケアの発展に大きく貢献する企業を表彰するもの。
日本からは唯一、「THE LAUNDRESS Cleaning Lab.」を行う株式会社トゥトゥモロウが最終選考に臨み、世界100以上の企業の中から同事業を評価されて総合6位に入賞しました。
世界で評価されたサービスをぜひ試してみては?
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