近年、多くのデニムブランドが「エコ」に取り組んでいる。
その理由にはまず、デニムがコットンでできていることが挙げられる。コットン栽培には大量の農薬が使われており、環境問題や栽培に従事する人々の健康被害なども叫ばれている。
また、デニムには「洗い」という工程があり、洗いだけで何度も工程がある。平均してジーンズ1本あたり約150リットルの水を使うとも。
そこで、さまざまな方法でエコなデニムを生み出す努力が重ねられている。古布・古着を再び新しい繊維にリサイクルしたり、ペットボトルをリサイクルして繊維にしたり、レンタルを推奨したり……。新しい挑戦を重ねるデニムブランドと、その多様な挑戦を紹介する。
長く履きこむ「Nudie Jeans」
「LEE」に在籍したデザイナーが独立して設立したスウェーデン発のブランド。コンセプトは「第2の肌」。ピッタリフィットするデニムの中で、履きやすさはお墨付き。シルエットの美しさで人気を博す「Nudie Jeans(ヌーディー・ジーンズ)」だが、オーガニックコットンを強くオススメしていることでも有名。「GOTS」「OEKO-TEX」などのオーガニック認証を取得したコットンを多く使用している。
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穿きこんでもらうことをイメージして作られている点も、「育てる」楽しみを掻き立てる。そのため、洗う頻度や洗い方なども、顧客に積極的に指導。愛着持って長く履きこむ……それがエコの第一歩でもある。
リサイクル繊維で海もキレイに「G-Star Raw」
「G-Star Raw(ジー・スター・ロゥ)」は、アーティスト・Pharell Williamsとコラボレーション中のプロジェクト「RAW for the Oceans(ロゥ・フォー・ザ・オーシャンズ)」で、海から回収したペットボトルなどのプラスチック廃棄物を独自の商品として再生していることは、聞いたことがある人もいるだろう。
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リサイクル繊維のみならず、オーガニックコットンはむろんのこと。健康や環境に害をなす可能性のある化学物質の使用を積極的に規制したり、ウェブ上でサプライヤーマップを公開していたりと、実に多様な取り組みを行っているのも、特筆すべき点ではないだろうか。
さまざまなエコ繊維にトライする「Kuyichi」
オーガニック&フェアトレードのコーヒやフルーツのビジネスを行っていた創設者。オーガニックコットンも広めたいと立ち上げたのが「Kuyichi」だ。2001年以来、端正で上品なフォルムで人気を博している。現在はオーガニックコットンだけでなく、ペットボトルなどを再生したリサイクルコットンや、コットンに代わるエコ繊維としてテンセルやヘンプなども積極的に取り入れている。
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買うより借りて! 「MUD Jeans」
オランダ発の「MUD Jeans」で特筆すべきは、顧客たちに自社製品を「買う」のではなく、「貸出」を推奨していること。 会費と月額使用料を支払えば、1年間ジーンズをレンタルできる。有効期間切れが迫ったときは、「継続使用」「交換」「返還」という3つのオプションが可能。借りている間は、自分のデニムとしてガンガン使用してOK。
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もちろん、オーガニックコットンを使用しているし、製造工程の管理も厳しくチェックしている。しかしそれだけでない、新しいビジネスモデルに注目だ。
エネルギー&水の使用量を削減「H&M」
2013年以来オーガニックコットン使用量世界一を誇る「H&M」。規模を生かし、「Conscious Collection(コンシャス・コレクション)」をライナップに、エコなファストファッションを強力に推し進める。
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2014年から登場した「Conscious Denim(コンシャス・デニム)」の開発においては、スペインのサステナビリティのコンサルティング企業「Jeanologia(ジーノロジア)」のガイドラインを洗いの工程に取り入れている。結果、水の使用量を56%削減。エネルギー使用量を58%削減に成功した。
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“ヴィーガン”をデニムにも……「Sonas Denim」
「Sonas Denim」は、エコだけでなく、特に「動物への配慮」に注意を払っている。デニムに限らず、「Sonas Denim」のアイテムはいずれも、動物実験ナシ(Cruelty-free)&副産物を含めた動物性素材ナシ。
利益の10%は、動物保護施設の設立に使われている。
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そのほかにもエコに取り組むデニムブランドはたくさんある ーー「Monkee Jeans(モンキー・ジーンズ)」「Skunkfunk(スカンクファンク)」……。毎日でも履ける定番のアイテムだからこそ、企業のフィロソフィー含めて厳選してみるのも良いかもしれない。
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