【連載】United Peopleの映画のハナシ【全6回】

映画が人生を変えた……そんな経験はありませんか?

A Picture of $name アーヤ藍 2016. 5. 20

映画が人生を変えた……そんな経験はありませんか?

子ども時代に観た映画で将来の夢を描いたり、ある映画がキッカケで旅に出たり、転職を決意したり、失恋から立ち直ったり……

映画には人の心を動かす力がある。

でもその力が、必ずしもプラスの方向に働くとは限りません。

例えば、2014年に公開されたドキュメンタリー映画『アクト・オブ・キリング』は、かつてインドネシアで大虐殺を行なった加害者たちに、自分たちの行動をカメラの前で再現させ、その様子を追った作品です。その中で、加害者のボス的な人物がこう語ります。

俺はハリウッドのギャング映画を観て、殺し方を学んだ。

映画にはパワーがある。

でも、その内容や伝え方によっては、恐ろしい方向に人を導くこともあります。そう考えると、映画においても「エシカル」という概念が存在しうるのではないでしょうか。

私たちユナイテッドピープルは、そんないわば“「エシカルな映画」を配給している会社です。配給という言葉はあまり耳慣れないかもしれませんが、簡単に言えば、映画を作った人たちから作品を預かり、それをより多くの人に届けるために必要な準備をしてプロモーションの計画を立て、映画館に届けるシゴトです。

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しかし正確には、私たちは「映画を届ける」会社ではありません。「映画を“使って”、メッセージを届ける」会社です。そして、社名(UNITED PEOPLE)のとおり、映画を通じて「人と人をつなぎ、世界の課題解決をする」ことをミッションとしています。

扱っている映画はどれも、環境問題や人権問題をテーマにしたもの、人にとっての幸せとは何かを問いかけるものなど、社会的なメッセージが詰まった作品です。全体の9割強をドキュメンタリーが占めます。

ユナイテッドピープルで配給している作品の一例。

ユナイテッドピープルで配給している作品の一例。

さらに、映画館で上映が終了したらシゴトは終わり……とはいきません。より広く、多くの人に観てもらえるように、「市民上映会」というかたちで、全国各地の人に映画のディスクを貸し出し、自分たちの街で上映をしてもらって、作品に込められたテーマや社会問題について考える場を広げてもらっています。

市民上映会では、映画の上映だけでなく、ゲストによるトークや、参加者間の感想のシェアなども行ってもらっています。

市民上映会では、映画の上映だけでなく、ゲストによるトークや、参加者間の感想のシェアなども行ってもらっています。

申し遅れました。私、ユナイテッドピープルのアーヤ藍と申します。

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実は私自身、一本の映画で人生が大きく変わりました。

国際関係への関心から、大学時代はアラブ・イスラームについて学び、アラビア語の研修で中東のシリアを訪れました。とても美しく、人が温かく、大好きになって帰国したものの、まもなく内戦状態に……。
 現地で一緒に笑い、ご飯を食べ、たくさんの言葉を交わした友人たちが、SNS上で悲惨な写真や言葉をアップしているのを目にし、「なにかシリアのためになることをしたい」という思いを持ちながらも、一般企業で働いていました。

そんな中、ユナイテッドピープルが関係しているある映画に出会いました(詳細は今後の連載で!)。その作品を広めることが間接的でもシリアのためになると思い、自分で上映会をスタート。その活動の中で「自分が心から伝えたい言葉をしゃべっている」ことに気づき、ちょうど人材募集のタイミングと重なって転職にいたりました。

ですので、映画の専門家なわけではなく、映画を「ツール」として捉え、中身のテーマやメッセージのほうに注目しながら仕事をしています。

そんな私のボス・関根健次もまた、映画畑の人間ではありません。

ユナイテッドピープルの代表取締役・関根健次。

ユナイテッドピープルの代表取締役・関根健次。

大学の卒業旅行で世界半周の旅をし、パレスチナで出会ったある子どもに将来の夢を尋ねたところ、返ってきた答えが……

爆弾の開発者になって、できるだけ多くの敵を殺してやること。

子どもが子どもらしい夢を持つことが許されない世界に衝撃を受けた関根。
 そこから紆余曲折を経て、14年前に起業。クリック募金サイト「イーココロ」(2015年にサービス終了)がきっかけで軌道に乗り、映画の事業に携わり始めたのは、7年前です。
 関根の半生は、著書『ユナイテッドピープル 「クリックから世界を変える」33歳社会起業家の挑戦(2009年、ナナロク社)(※アマゾンへ遷移します)』にまとめられていますので、ご興味を持たれた方は、手に取ってみていただければ幸いです。

ユナイテッドピープル。実は、関根と私の二人しかフルタイムで働いている人間はいません。パートタイムで働いてもらっている人も数人いるものの、それでも片手に収まってしまう人数です。さらに、代表の関根は、今年4月から約1年間、「学びの年」として世界一周の旅に出ています(笑)。

マンパワーの小さい会社ですが、それでも成り立っているのは、社名のとおり「UNITED PEOPLE」 ーーさまざまな人とのつながりに支えられているからです。私たちにとっては「お客さま」という意識よりも、「ファミリー」という意識が強いほど。
 そんなつながりのパワーについても、今後の連載でお伝えしていければと思っています。

第一回目はこのあたりで締めたいと思いますが、これからこの連載では、昨今の映画界事情(特にミニシアターに関して)や、市民上映会が生み出す人と人とのつながりについて、また、映画を切り口に今の世界を見つめるような記事を書いていきます。
 ぜひ次回以降もご覧いただければ幸いです!

ユナイテッドピープル

Website:http://unitedpeople.jp
Facebookページ:https://www.facebook.com/upjpf/
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有料メールマガジン:http://unitedpeople.jp/ups
 ※関根の旅の様子について、深い話が知りたい方はぜひ!

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