テクノロジーが革新を生む! エコなファッション・イノベーション3つ

2016. 2. 18

ファッションにテクノロジーは欠かせない。新しい糸や生地を生み出したり流通を拡大したりと、可能性を広げてきた。

また、環境負荷の低い素材が開発されるだけでなく、サプライチェーンをより効率化することで生産工程に革新をもたらした。化学繊維の原料・石油の使用量をもっと少なく。コットンづくりに欠かせない水をもっと少なく。添加される化学物質をもっとやさしく……。

テクノロジーは、服とエコ・サステナビリティの間にあった壁をも取っ払いつつある。そこで今回は、テクノロジーがもたらした、3つのエコ・イノベーションをご紹介。

1. 食べ物を衣服に

微生物学を学んだドイツのデザイナー・Anke Domaskeさんは学生時代、牛乳・お茶・コーヒー豆を使って服を「育てる」プロジェクト「Grow Your Own Clothes」を発表。続いて、Qmilkという会社を設立し、牛乳から作った繊維・生地だけでなく、インテリアやカー用品まで手がけている。

Qmilkの生地はシルクのような手触り。柔らかく非常に着心地が良く、シルクより安価という。それだけでなく、Qmilk生地は、雑菌の生育を阻害し、皮膚の状態を感知する働きがあるとも。どのような気候・アクティビティにも対応できる高機能素材といわれている。

2. 染色がエコに

糸・生地を染める工程に大きな環境負荷がかかっていることを知っている人はどのくらいいるだろうか? 染料や薬品に漬けたり、染色後の洗いに大量の水が必要だし、染料を染み込ませたり乾かしたりするのに、非常に高温で作業する必要がある。

カリフォルニアの企業・Colorepは、「AirDye」と呼ばれる染色技術を開発。これは、従来の染色方法からエネルギー使用量85%カット、水の使用量90%カットという、非常にエコなもの。「AirDye」では専用の用紙にまず染料を散布。塗布面を生地に接着させると染まり、熱を与えて定着させるという。専用用紙も染料も再利用が可能とも。衣類用テキスタイルのみならず、家具や壁紙と、どんなテキスタイルにも使用できるのも特徴だ。

3. 変わる「プリント」の意味

プリントといえば、生地に模様を「印刷」するもの……だったが、3Dプリンティング技術の登場で、「作る」の意味が加わった。

パリ、ロンドン、ミラノなどのランウェイでも、すでに「Iris Van Herpen」のような先進的なデザイナーがコレクションに取り入れている。なぜ3Dプリンティングがエコの側面からも注目されているかというと、大きく2つある。

第一にゴミが減ること。生地からパターンを切り出すと、どうしても端切れが生まれる。これらはだいたいの場合、そのまま捨てられてしまうが、3Dプリンティングにはその心配がない。

第二に、在庫リスクを抱えなくて済むようになる可能性が高いこと。3Dプリンティングなら、必要なときに必要な数だけ作れるからだ。これまでは「どのくらい売れるか?」を予測し、十分な量をあらかじめ作っておくのが通例だったが、この場合、見込みを間違えれば大きな在庫を抱えることになる。

ほかにもウェラブルデバイスなどが登場し、この10年だけ見てもファッションのあり方は大きく変わった。テクノロジーは日進月歩。これからも、サステナビリティがもっとファッションに近づいていくことを期待したい。

This Article is Originally from...

Charles Morley 'When Technology Meets Sustainable Fashion' Eluxe Magazine , February 15, 2016

>> http://eluxemagazine.com/fashion/when-technology-meets-sustainable-fashion/

(許諾を得て掲載)

この記事のキーワード

Keywords

Sponsored Link
次はコチラの記事もいかがでしょう?

Related Posts