フランスのオートクチュール。感覚と経験から生まれるその繊細なシルエットや刺繍などの飾りは、デリケートそのものである。そこへ行くと3Dプリンティングという最新テクノロジーは、その対極の存在のようにも感じる。
ジュエラー・Diana Lawは、そんな3Dプリンティングとオートクチュールをエレガントに融合させている。
Diana Lawは、Paris American Academyでフレンチ・クチュールを学んだバックグラウンドを持つ。そしていま、クチュールの繊細な美しさを、3Dプリントのイヤリングやネックレス、リング、ブレスレット、ヘッドアクセサリーに仕立てている。
Diana Lawは、まずスケッチを3Dプリンティング用のデータに変換するところから始まる。変換されたデータファイルは、海外の3Dプリンター業者に転送されてプリントされる。最後にLaw自身が最後の仕上げをして完成だ。
Lawによれば、インターネットがあれば、どこにいても製造工程を全て管理できるのも利点だという。
Lawは、3Dプリンティングがもたらすものづくりの可能性に興奮を隠さない。まず、長く複雑だったサプライチェーンがシンプルになった。そして、従来ならコストが掛かり過ぎて不可能だったような手の込んだデザインが可能になった。Lawは次のように言う。
3Dプリンティングは、私にいままで知らなかった「無限の」可能性を教えてくれた。
Lawは、英・Eclectic Magazineにもこのように話している。
個人主義は、今後ますます大きくなっていくでしょう。3Dプリンティングは、個人が自らユニークなアイテムを作ることができるという点において、同じものを氾濫させる大量生産制と対極に至ることもできます。
とはいえ、ファストファッション企業がこの技術を大規模導入することも当然想定内のこと。同じものを遥かに安価に量産できるからだ。
しかしLawは、その点について次のようにも指摘する。
3Dプリンティングがもたらすのは、アイテムを安価に量産するということではなく、新しい「モノの見方」なんだと思います。未来のものづくりのコンセプトなんです。
当然、ファストファッション企業もこの技術を駆使するでしょう。しかしどこかのポイントで、きっと個人の創造性がファストファッションを凌駕すると思います。デザインの質や希少性といったもののほうが、尊重されるときが来ると思うのです。
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