今回は連載『いまどき大学生のイロイロ奮闘記』最終プロジェクトとして、大学生の服・アクセサリーのお買い物実態調査を行いました。
イマドキの学生たちは、どんな価値基準を持って服やアクセサリーをお買い物しているのか? エシカルやフェアトレードといった言葉がどれほど日常生活に浸透しているのかが知りたい!
そこで大学生152名を対象にアンケートを実施!
右が今回いっしょに調査を行ってくれた、えなちゃん。
今回のアンケート調査は、同じ大学の友人・えなちゃんと共同作業で行いました。
服の背景は気にする?
服を買うとき、タグはチェックする?
「購入するときはタグをみるか?」という項目では、95%が「見る」と回答。
値段はもちろんのこと、「見る」と答えた人のうち、原産国を見ている人が27%いました。最近、生産工場国の問題などがテレビで取り上げているからその影響でしょうか? ただ「原産国で商品の質を判断している」と回答する学生も数名いました。
情報は購買意欲をかき立てるか?
エシカルファッションを売るうえで、生産者のストーリーが付加価値になるといわれます。実際、それらは購買意欲をかき立てるものになるのでしょうか?
「安いけれど、生産者や生産工程などの説明書きのないもの」「高いけれど、生産者や生産工程などの説明書きが載っている服」のどちらのほうが購買意欲が湧くかを尋ねてみました。
結果は、60.1%で「安いけれど生産者や生産工程などの説明書きのないもの」。しかし「安いけれど生産者や生産工程などの説明書きのないもの」と回答した学生の中には、次のようなコメントが。
「学生でお金もないので安さを重視してしまう。本当は『高くても説明がある商品』を選びたい」
「学生なので安さに勝る要素が見出せない。フェアトレードなどエシカルなものを買うことが望ましいのは分かっているけれど、経済的に余裕がない」
「学生なので安さ重視」という現実的なコメントが目立ちました。
さらに収入別に見てみると、平均的な月収層である「75,000~99,999万円」の学生で、「比較的高くても、生産者や製造過程を示したなどの説明書きがある」ことを好む割合が最も多いのが印象的でした。
彼らからは、このようなコメントが理由に挙げられていました。
「安心して着られる」
「身に付けるものだからどのように作られているかを知っておきたい」
「正規に作られているという証明になるような気がする」
ただし一方で、「情報で値段が上乗せされるのはどうなのかと思う」という意見もありました。
エシカル、フェアトレード、オーガニックコットン……知ってる?
それでは、「エシカル」「フェアトレード」などの言葉はどのくらい知られているのでしょうか? 次の5つの単語について尋ねました。
フェアトレード:発展途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することを通じ、立場の弱い途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指すこと
スローファッション:ファストファッションの対義語表現。高価ではあるが質のいい洋服をもつということでもある
オーガニックコットン:「有機栽培綿」ともいわれ、3年以上化学薬剤を使わない畑で、一切の農薬や化学肥料を使用しないで栽培された綿花のこと
エシカル:「倫理的」「道徳上」という意味の形容詞。 近年は、倫理的活動を「エシカル(ethical)○○」と表現し、エシカル「倫理的=環境保全や社会貢献」という意味合いが強くなっている
単語の意味まで知っている人の割合は少なく、そのうち4つ以上意味を知っている人は21%でした。
特に、「エシカル」という言葉を知っている人が最も少なく、想定していたものの驚きました。エシカルに触れられる環境に身を置いているから身近に感じているだけで、世間ではそこまで広まっていないんだな……と実感。
調査を終えて……
同じ大学生どうしでも、普段は共有しにくい価値観を分析できたことが、私たち自身すごく参考になりました。今回用意した質問事項は、月々の収入からお買い物時の優先順位など、具体的に個人を問うものが多かったですが、イマドキ大学生の傾向が見えてきたように感じます。
一方で、回答数が少なかったので、1,000近くのサンプルを集められたら、より大学生の全体が見えたかもしれないという反省も残ります。
調査を通じて、エシカルという言葉を単に広めるだけでは逆にエシカルに反してしまうと思いました。
「エシカルだから買う」とか「エシカルだからたくさん売る」というように、エシカルという言葉を使って、結局また生産して消費を増やしている……エシカルというのは、もっと言葉の表面だけでは表せない、人がモノに対する思い入れや、その人がどれだけそのものを大切にしているか、そのものを使うことでどんな考えが生まれるかなど、深いことだと思います。
平均で月に9万円近いお金を持てる大学生。そんな大学生が、自分の行う消費活動と手にする商品の関係性を、もう一歩踏み込んで感じられるようになるよう、今後も積極的に挑戦していきたいと思います!
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