イギリス・コーンウォールに住むNicola Congdonさんが編むのは、ニワトリ用のニットジャンパー。このニワトリたちは、どんなニワトリかというと……?
ぬくぬくのジャンパーを着ているニワトリたちは、これまで卵を産むために飼育されてきた「採卵鶏」。そうしたニワトリたちは、バタリーケージと言われる狭いケージに詰め込まれ、卵を産む機械同然の状態にさせられるといいます。
Nicolaさんは「引退」した採卵鶏を引き受け、保護・飼育しています。現在飼っているのは、約60羽ほど。
ニワトリたちは、生まれてからずっとケージの中で過ごしてきたため、寒い自然な気候に順応できなくなってしまっているのだと、Nicolaさんは言います。そこでNicolaさんは、お母さんといっしょにニワトリたちのためにニットジャンパーを編んで着せているのだそう。
「ジャンパーが欲しい!」と、カナダから問い合わせもあったそうですが、「もし一つ購入していただけるなら、そのときは南アフリカのエイズ孤児のために活動しているNGOへの寄付をお願いしているの」とも。
実は日本で飼育されるニワトリも、ほぼバタリーケージで飼われていると話すのは、NPO法人アニマルライツセンター代表・岡田千尋さん。
農水省の調査によれば、日本の大きな農場の92%でバタリーケージを使用しています。この数字は前回調査の2008年から1.8%増加している状況。つまり、「国産の卵」とスーパーで売られている卵は、ほとんどがバタリーケージのニワトリの卵なんです。
日本のバタリーケージは、1羽当たりのスペースが平均してiPad1枚分の22cm×22cm。約19cm×19cmというケージもあって、それは私も見たことがありますが、まさにぎゅうぎゅう詰め。足がケージに押し付けられて身動きが取れない状態で飼われています。
ニワトリたちは改良されて、毎日卵を生んでいます。平均的に2年間卵を生み続け、「廃鶏」つまり、卵を産む力がなくなったらそのまま屠殺され、スープの出汁など加工食品に使われます。
(NPO法人アニマルライツセンター代表・岡田千尋さん)
寒さ厳しいイギリスの冬。しかし、ニットを着せてもらったニワトリたちは、きっと心から温まっていることでしょう!