華やかなファッション業界の裏側 知られざる真実とは?
2013年4月に、バングラデシュ・ダッカのラナ・プラザという縫製工場が倒壊(ダッカ近郊ビル崩落事故)し、1,100人以上の死者、負傷者2,500人以上の大惨事となった。
この事故をきっかけに、アンドリュー・モーガン(Andrew Morgan)監督がファッション業界の裏側に迫った映画「The True Cost(邦題:ザ・トゥルー・コスト ~ファストファッション 真の代償~、以下『ザ・トゥルー・コスト 』)」を完成。
2015年5月に世界での上映が開始された同映画が、2015年11月14日から日本でも字幕版公開開始となる。
きらびやかなランウェイから鬱々としたスラムまで。服を追って世界中で撮影された本作は、現地の工場経営者の声から、ステラ・マッカートニーらファッション界で最も影響力のある人々、世界的な環境活動家であるヴァンダナ・シヴァへのインタビューまで含まれている。服を巡る知られざるストーリーに光を当て、「服に対して本当のコストを支払っているのは誰か?」という問題を提起する。
同作の日本公開にあたり、映画を撮影したアンドリュー・モーガン監督にいくつか尋ねてみた。
―― 日本上映に際して、どんなお気持ちですか?
すごく嬉しいし、わくわくしているよ! メディアにおいてもファッションにおいても、日本は世界で重要な役割を占めていると思うよ。
―― 日本でも撮影が行われました。
日本はすごく心に残っている場所。
何年か前に、別のプロジェクトの撮影で1度だけ行ったことがあるんだけど、穏やかな空気が漂っていて、とても精神的に落ち着く場所だった。日本が持つ豊かな歴史と、未来への可能性―― それらが融合して、とてもスペシャルな場所になっているんだと感じた。
クリエイティブな場所だし、これから作る映画でも再び日本で撮影する予定を立てているんだ。
―― 映画の撮影後、服の選び方は変わりましたか?
この映画を撮る前は、自分が買った服がどういう服なのか? なんて考えたことなかった。でも「ザ・トゥルー・コスト」の撮影中は、考えを改めることが多かったよ。
いま、僕の服はだいたいセカンドハンドのもの。新しいものを買うときは、そのブランド・会社のこともきちんと調べて買うようになった。
たとえ服1枚でも、どの商品を買うのか選ぶとき、人として僕が持つ価値観にフィットするものを選ぼうとするようになった。おかげで、僕の人生はすごく豊かなものになったと感じているし、買い物を通じてそれを作った人や場所と出会う機会を得ているんだっていうことに、すごくありがたい気持ちになるんだ。
まだまだ完璧だと思える商品選びはできていないし、学ぶべきことはたくさんある。でも買い物のしかたは、もう前には戻れないな。
―― 監督の今後の予定は?
いくつか新しいプロジェクトを進めているよ。一つは、「ザ・トゥルー・コスト」の次回作! 早くみんなに報告したいな。
ストーリーを伝えることの美しさと、それを伝えるために試行錯誤する作業に、ホントに”恋に落ちてる”って感じなんだ。それを続けられていることに、感謝と喜びが尽きないよ。
―― 最後に日本のみなさんにメッセージを!
声を持つ一人ひとりが、そのメッセージを発信することで社会は成長してきた。無視するのではなく、声をあげて食い止めるとき。特に大きく成長するのは、誰かを犠牲にした発展に意味がないと動き出すときだ。
世界中の人々が、目を向けはじめている。いま、どういう未来を選ぶのか、人類の歴史の中でも重大な岐路に立たされていると思うんだ。
僕の友人でありファッション業界の先駆者でもあるサフィア・ミニーが言う「クリエイティビティ、慈愛そして消費が手を取り合った世界」。人類の次なる歴史のチャプターはそういう世界だと思うし、いまがそのチャンスだと信じているよ。
(コメントここまで)
衣服という誰もが身に着け、買わずにはいられないもののルーツを掘り下げた本作は、ファッション業界の裏側を見事に描いており、服を着る全ての人に観ていただきたい。
服をきっかけに、思った以上にさまざまな発見や気づきが得られるはず。
と話すのは、日本配給を行うユナイテッドピープル株式会社代表取締役・関根健次氏。
「ザ・トゥルー・コスト 」は2015年11月14日(土)から渋谷アップリンク劇場や市民上映会にて公開。
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