美しいテキスタイルで、かつて世界中から注目を集めていたインド。18〜19世紀の最盛期には、シルクやコットンの製品が各国に輸出されていました。ちなみに、当時インドから輸出されたものの中で特に人気だったのがバンダナ。ベンガル地方から輸出されたバンダナは、もともと船乗りや農民が首に巻くための大判のハンカチのことで、ヒンディー語の絞り染めを意味する言葉が語源になっています。
バンダナに限らず、ファッションにはインド由来の言葉がいっぱい定着しています――キャリコ、ダンガリー、カーキ、パジャマ、シアサッカー……これらはまだ一部。イギリスのメーカーがインドのデザインやパターンを「輸入」し、再発信したことで世界に広まりました。
そんな長い歴史のあるインドの伝統技術を継承し、再解釈したブランドがいくつも登場しています。そこで、インドで注目されているブランドをご紹介!
1. Behno
「Behno」のスタイルは、建築家であり都市計画家のル・コルビュジエが1950年代に計画した都市・チャンディーガルにインスピレーションを受けたもの。インドを訪れ、恋に落ちたデザイナーが、“made in India”にこだわって作っています。彼が出会った、手紡ぎ手織りの美しい生地を手掛ける生産者の9割近くが女性。彼女たちがより適性なる賃金を得られるよう、グジャラートに自身の工場を設け、新しいモデルの工場を作るべく奮闘しています。
2. Payal Pratap
モダンで自分の足で歩く強さもありながら、インドの伝統に敬意を捧げる女性のために、2010年にPayal Pratapが立ち上げたブランド。流行に左右されない、タイムレスなピースを手掛けんとしています。天然繊維の生地に施された、クロスステッチの刺繍が非常に繊細で、インドの手仕事のすごさを感じます。
3. Anokhi
「Anokhi」は、「ピンクシティ」と呼ばれるジャイプールの街を拠点にするブランド。ジャイプールには、豊かなアート&工芸の歴史があります。「Anokhi」は40年の間、ハンドプリントのテキスタイルを発表し続けているロールモデル的企業。木彫りの版で、一つの柄を色ごとに手で押していくブロックプリントの技法を守り続けています。
4. Bhu:sattva
2009年に登場した「Bhu:sattva」は、ソフトなカラーパレットでフェミニンなスタイルがインドで人気。グジャラートのオーガニックコットンを使い、手刺繍やブロックプリントなど、さまざまな技術を生かしたものづくりのブランドです。また「カーディ・アート」プロジェクトを立ち上げ、ガンディーの思想をベースにした活動で、生産者のエンパワメントを行っています。
5. Samant Chauhan
デリーのデザイナー・Samant Chauhanは、2004年の卒業コレクション以来注目を集めているブランド。インドのテキスタイルを用い、鮮やかな刺繍をあしらいながらもシンプルでクリーンなシルエットの服を作っています。バーガルプルの職人たちに大きく感謝しているといい、彼らに捧げるコレクション「Rajputana Collection」も立ち上げました。
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