ベルリン市内ウェディング地区。忘れ去られた中庭のような場所に、吹きガラス職人・Jesper Jensenの工房がある。デンマーク出身のJensenは、ベルリンに移り住んで5年になる。
彼の挑戦は、「いかに少ないエネルギーでものづくりができるか」というところにある。
吹きガラス製作に、どのくらいのエネルギーが使われているか、そもそも思いも寄らなかった筆者であるが、バイクに乗って、彼の工房を訪ねた。
迷路のような中庭をすり抜け、まず目に入ったのは、大きな観葉植物と、窓から乗り出して煙草を吸うJensenだった。
私が階段を上がって2階にある彼の工房にたどり着くと、彼は温かく迎い入れてくれた。
―― まずは自己紹介を。
Jesper Jensen。ベルリン在住のサステナブルな吹きガラス職人だ。
―― あなたの活動について教えてください。
長らく吹きガラス職人として働いている。大学で、試験用のプロジェクトで、いかに少ないリソースでガラスを作れるかというのを研究しました。いまの取り組みも、それが元になっている。
いま僕たちは古いワインボトルを使ってプロダクトを作っているんだけど、ベルリン中を訪ね歩いて、ワインボトルを集めているよ。
まさしく路上で拾い集めるように、ゴミになってしまうものを回収して、全く新しいものに作り変えているんだ。
―― その活動を始めて、プライベートのライフスタイルは変わりました?
僕はずっと、吹きガラスがどのくらいのエネルギーを必要とするかに関心があった。ガラスを熱して液体状にして、吹きガラスをするのは、とにかくコストが掛かるし、環境にも良くない。それがプロジェクトを始めたそもそもの理由なんだ。
ガラスづくりに使う機械は止められない。機械を停止させるのは、修理するときだけ。
工房を始めたときは、電気代が気になってしかたなかったよ! だから自然と、私生活でも省エネを心がけるようになっていたよ。電球はLED。もう、アホみたいになんでもリサイクルするしね。
工房は、ドイツの一般家庭4軒分の電気を消費する。異常に多いと感じるだろうけど、ガラス工房にとってはふつうの量だよ。
―― あなたにとって理想の社会とは?
そうだね、もっとみんながリサイクルやリユースをしてくれると良いと思うな。僕らが使えるガラスボトルが見つけられなくなるくらいね! そうなったら、僕らはまた別のものを探すよ。
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