【パロディ】あなた好みがきっと見つかる! 旅するかのように味わうオーダーメイド・ウォーター【動画】

2015. 8. 5

近年増えつつある「こだわりのものづくり」や「ホンモノ志向」を皮肉った動画が話題になっている。

2015年6月にリリースされた動画で紹介するのは、ニューヨーク・ブルックリンに拠点を置く、ビルとテリーのティミー兄弟。兄弟が作っているのは、ていねいに手作りした水だ。人々を「乾き」から救い出す、異常ともいえるほどこだわりぬいたものづくりとは……?

The Timmy Brothers – Water Makers from Paul Riccio on Vimeo.

動画は、気鋭のクリエーターが自身のものづくりについてのこだわりを語るという構成。

彼らが作る水は、アメリカの開拓者たちが辿った道筋をなぞってミシシッピ川、ゴワナス運河、イースト・リバーなどの水を1%単位で調合してできたオリジナルな水。そんなこだわりの調合の味わいについて兄弟は、「水を飲みながら、君は地形学について、歴史について、そして哲学を学ぶだろう。自然や歴史との新しいつながりを感じるはず。それはまさに『1Liter of Adventure(冒険の1リットル)』なんだ」と誇らしげに話す。

水を集める方法にもとことんこだわった。彼らはなんと、ロバを使っているという。どうやってロバ……? 

「ロバに、かばん(サッチェル)を担がせたんだ。ロバが野を越え山を越え運んでくるんだよ」と、ティミー兄弟。ちなみに、そのロバたちが水を運ぶときに使うレザー製サッチェルも、もうすぐオンラインで販売開始だとも。

そう、ここで気づきたい。ドヤ顔で繰り出される高尚な謳い文句(定番ばかり)とキャッチーなフレーズで「ものがたり性」をアピールする滑稽さに……。

しまいに、これほどまでにこだわるティミー兄弟の水は高い。1ボトルあたり11米ドルだ。だが、この価格も掛けた膨大なコストをまかなえるギリギリに設定しているという。

ディレクターを務めたPaul Riccioは「Little Black Book」に対し、「狙いは二つある。一つは『なにかおもしろいものを作る』ということ。二つ目は、近年広がる職人的なものづくりの『でっち上げ(hoax)』と、それを歓迎する消費のあり方に風穴を開けて、その滑稽さを指摘すること」と話している。

確かに、丁寧でこだわりぬいたものづくりにはものがたりがある。しかし、陳腐だが耳障りの良い言葉で語られるその「ものがたり」は、本質からかけ離れ、消費者をいたずらに躍らせているだけなのかもしれない。

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