「チョコレート工場の秘密」「オ・ヤサシ巨人」などの名作を残した作家・Roald Dahl(ロアルド・ダール)。
その孫、Phoebe Dahl(フィービー・ダール)が設立したブランド「Faircloth & Supply」は、ヴィンテージやデッドストックの生地を使って、タイムレスなワードローブを作っている。それだけでなく、ネパールの子どもたちに学校の制服を提供し、その未来への一歩を支援している。
1900年代の日本の伝統衣装にインスピレーションを受けたという同ブランドのアイテム。ニュートラルなカラーパレットでスタイリッシュに仕上げている。
祖母の縫い物をずっと眺めながら、裁縫を学んだというPhoebe。以来、彼女はファッションまっしぐら。サンフランシスコのファッション系大学・Fashion Institute of Design and Merchandising、ロンドンのLondon College of Fashionと進学し、アムステルダムのデザイナーの下でアシスタントを務めた。
彼女のハートに火が着いたのは、東京とインドを訪れたとき。「Vogue」へのインタビューに際して、Phoebeはその印象について語っている。「東京の人たちの、リネンアイテムの着こなしに一目惚れ。今まで見たことない着こなしだったわ。『Levi’s』のダメージデニムにリネンのオーバーサイズワンピースを重ねていたりするのよ。フォークロアな感じもするし、牧歌的な感じもする。すごくリラクシングで美しくてエレガントだったわ」。
Phoebeはサステナブルな素材で、美しい服を作るだけでは満足しなかった。およそ6700万人の子どもたちが学校に通えない事実――その半数は女の子だ――を知り、何かできないかと考えたのだ。
東京のほか、もう一つ深く影響を受けた国・ネパールに注目。この国で教育を受けているか否かは、その後の人生に想像しがたいほどの違いを生む。出産時の生存率が上がるだけでなく、人身売買、売春の危険も激減し、性感染症、特にHIVへの感染率が下がる。
さてここで、「制服を着られない」ことが、ネパールの子どもたちにとって、どれほど大きな問題か知っているだろうか。カースト制による差別をなくすため、学校では制服の着用を義務づけられている。しかし今度は、制服が買えない子は学校に行けないという事態になってしまっているのだ。
「Faircloth & Supply」は、NGO・General Welfare Pratisthanとともに、ネパールの女の子たちが身体的・精神的、そして社会的に良好な状態(ウェルビーイング)を達成できるようインフラを整えている。
1服が購入されるごとに、女の子に2枚の制服が支給される。それだけでなく、1年間学校へ通えるよう奨学金を付与し、文具等学校で必要なものも提供している。服を買うことで、その子が未来へ踏み出す第1歩を支援できるのだ。
すでに同ブランドとNGOによる支援プログラムは、2千超の女の子とその家族に提供されており、現在も提供を増やしている。もちろん、次は<学校に通い続ける>ことを達成しなければならない。しかし制服がないことでその一歩さえ踏み出せなかった子どもたちに、その一歩は大きな明るい一歩――Big Friendly Giant Step――になるはずだ。
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