「IOU」――「I Owe You(あなたに借りがある)」は、借用証書の意味だったり、転じて「助かる!ありがとう!」という意味の口語だったり。どんな服も、誰かに「借り」を作りながら生まれてくる。その「誰か」をつなぐことをコンセプトにするブランドが、「IOU Project(アイ・オウ・ユー・プロジェクト)」だ。
「IOU Project」の服は、インドの職人さんたちが生地を織るところから始まる。なぜインドか? それはインドが持つ生地織りの歴史・実力にほかならない。生地の手織りで生業を立てる家庭が、およそ2千万戸あり、合わせると1日に5千万メートルを織ることができるという。
しかし、近代化の影響で機会化が進む中、彼らの仕事は年々減少している。彼らの技術を守り、雇用を守る。それによって、一人ひとりのカスタマーにユニークな服を提供することが「IOU Project」のミッションだ。
インドの手織り、いろいろ
ではそのインドの手織りとはどんなものなのだろうか? 「IOU Project」では、生産を依頼する工房を一つずつ丁寧に紹介している。
インド南部の海岸近く、クリンジパディーの織り手さんの手織り
チェンナイの近く、Aringnar Annaの織り手さんの手織り
チェンナイの近く、ナダブアーラパトゥの織り手さんの手織り
インド南部の海岸近く、Sandrorpalayam村の織り手さんの手織り
インド南部の海岸近く、カライカドゥの織り手さんの手織り
織り手さんたちの紹介動画は、「IOU Project」のウェブサイトやブログでも見ることができる。少しずつ拡大し、いまではマレーシアやシンガポールの手織り職人たちとの取り組みも始めている。
デジタルが紡ぐ縁
インドで生まれて生地を織るのは、ヨーロッパ各国の縫製のプロたち。「IOU Project」の販売サイトでは、一つ一つの商品に対し、誰がどんな生地を織り、どこで誰が縫ったのかをたどることができる。
「この人が織った生地の服が欲しい!」という、織り手指名買いや、「同じ工房の他の人が縫った服が欲しい!」という工房指名も可能だ。機械化の波を生かし、いままでなら見えなかったつながりを可視化させている。
もちろん、購入者もサイトに着たときの様子やコーディネートをアップロードすることができる。忘れてはならないのは、着る一人ひとりも、このつながりの一部であることなのだ。
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