ブランドとは、デザインをかたちにした最終製品を販売して成立するものだった。しかし、これが変わるかもしれない。
元「HUGO BOSS」のクリエイティブ・ディレクターによるブランド「Honest by.(オネスト・バイ)」から、3Dプリンターを使って購入者自身で製造できるアクセサリー用デザインデータが発売された。これは、業界初といわれる試みで、スペインの新興企業・Comme des Machinesとの協業によるもの。
2015年6月5日に販売が開始された「Download EP01」コレクションは、ブローチやキーホルダー、靴紐に通してアクセントにするためのモチーフを含むアクセサリーコレクション。だが、販売するのは、その3D印刷用データ。購入すると、データをダウンロードできるようになる。
「Honest by.」は、服が作られるまでの過程を全て「見える化」――透明性を確保――しようという趣旨のブランド。元「HUGO BOSS」のクリエイティブ・ディレクターである、Bruno Pietersが、2012年に立ち上げた。その趣旨の下、スペインの新興企業・Comme des Machinesと出会い、今回のコレクションの実現に至ったという。
技術や一般家庭への普及が追いついていないいま、先取りしたかたちの今回のコレクション。Bruno Pietersは「3Dプリンティングには無限の可能性がある」とし、それがもたらす影響を、次のような視点から話している。
3Dプリンターで、購入者が自分で作れば、すぐさま透明性のあるアイテムを着ることができる。製造に関わるのは、購入者だけだからだ。3Dプリンティング技術は、見えにくい製造過程の中で問題視されている労働問題を一掃する。
その他にも、輸送に掛かるコストとCO2が削減できるほか、将来的に3Dプリンター用シュレッダーの開発が進めば、家庭の不要なゴミが3Dプリンター用素材になり、リサイクルがいっそう簡単かつわくわくするものになる、と期待を込めている。
今回のアクセサリーコレクションは、3Dプリンターの可能性を追求するにとどまらない。ブランドとしてデザインデータを販売する試みは世界初といわれており、今後の「ブランド」のあり方にも一石を投じるだろう。価格は50ユーロから。「Honest By.」のオンラインショップから購入可能。
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