衣服はもちろん、カーテンやカーペット、ソファカバーに傘……毎年日本では、およそ240万トンの繊維製品が作られ、消費されています*1。しかしその代わり、毎年どのくらいの「繊維ゴミ」が捨てられているか、ご存じですか?
実は毎年、合わせて約171万トンの繊維ゴミが家庭やメーカーから排出されています*2。
中でも特にもったいないのは、過剰生産で余った商品などのデッドストックではないでしょうか。さまざまなメーカーには、一度たりとも使われることないままの糸や生地、繊維製品がたくさん眠っています。しかし新品にもかかわらず、それらは捨てるしかないのが実情です。
「RDF」のリ・デザイン
使えるのに捨てられるのはもったいない! ーーそんな思いで、今年生まれたブランドが「RDF(アール・ディー・エフ)」。
「RDF」では、メーカーの倉庫に眠る生地や糸を、オリジナルのアイテムに大変身! 新しい命を吹き込みます。
使うのは、高級なカリフォルニア州・サンホーキンの糸や、高級倉敷デニムのデッドストック。「そんな素材がデッドストックになってるの?!」と驚きませんか?
しかも生産を担うのは、歴史と由緒ある国内産地の職人さんたち。タオルは、120年の歴史を持つタオル産地・今治で。毛布は、日本初の毛布が作られ、いまも国産毛布の9割を生産する大阪・泉州地区で。それぞれ老舗メーカーが熟練の技で織り上げています。さらに、伝統技術を理解する気鋭のアーティストやデザイナーが、オリジナルの商品にリ・デザイン!
そのうえ通常では考えられないお得なお値段になっているのもスゴイところ。例えばこのエプロン。通常、国産生地を使って国内で縫製した商品なら15,000円もするのだそう。
ヒミツは、流通をシンプルにしたこと。直接お客さまとつながることで、余分なコストを省いているのです。お得にハイクオリティの商品をゲットしながら、地球にも優しいアイテムなのです。
デッドストックが生まれるしくみって?
しかしなぜ、一度も使われることなく倉庫に眠る「デッドストック」が生まれてしまうのでしょうか? それは、業界の抱える構造が課題になっていると、「RDF」はいいます。
全く使われないまま捨てられてしまう在庫を生み出している一つの理由は、ファストファッションに代表される過剰な大量生産。多くの人が消費するファストファッションは、数万枚というロットで作るブランドも少なくないでしょう。生産時の予測数量と実質消費数量をピッタリと合致させるのは、非常に困難なことです。「足りなくて売り逃したらもったいないから多めに作ろう」と、考えがちです。
次に、繊維業界の複雑な流通構造があります。ほぼ良品のものでも、業者間で品質基準に満たないとされる不良品が、たくさん返品されています。
全国の紡績会社やテキスタイルメーカー、商社、アパレル・インテリアブランドなど、いろんな企業とともに、これらの問題を少しずつでも解決していきたいという「RDF」。でも忘れてはならないのは、最後の一言かも。
そして、消費者の手元に無事届いたのに、一度も使われることなくタンスに眠ってしまっているものも多くあるでしょう。それらも「デッドストック」です。
「RDF」では、みなさんが使い倒したりしてもう使わなくなった「RDF」製品を回収。バイオエタノールという再生エネルギーに変換する取り組みも行っています。枯渇資源である石油をできる限り使用せずに、エネルギー利用も持続可能なものにして行きたいという思いがあるそう。
必要なものを選んで買う。買ったら最後まで大切に長く使う。そしてもう一歩。使い終わったら、「まだ何かできないか?」とちょっと考えてみるーーそんなモノづきあいで、この170万トンをいっしょに減らしませんか?
*1……http://www.dynax-eco.com/repo/report-07.htmlほか
*2……繊維製品3Rシステム検討会報告書、平成23年。2008年以降、繊維ゴミの政府統計は取られていない。
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