両足義足で活動するアーティスト・片山真理さん。両足とも脛骨欠損という、主幹を成す太い骨がない病気を持って生まれ、9歳のときに両足を切断しました。以来その独特な身体を介し、自分と自身を取り巻く世界との関わりを作品にし続けている彼女が、初の個展「you're mine」を開催しました。
→インタビュー「両足義足でハイヒールを履くという選択 / アーティスト・片山真理さん」
本当の自分なんていない、のその先
そう思えるようになったもう一つの理由に、義足でハイヒールを履く「ハイヒールプロジェクト」として、ステージに立って歌を歌ったり演技をしたりポールダンスでパフォーマンスをしたり、いままで空間やオブジェで表現していたものを身体一つで行うようになったこともあるといいます。
いちばん好きなのは、歌うこと。熟練のシャンソン歌手のように、成熟美がある声で、外国語の曲もすらすらと歌う彼女ですが、いままで一回も習ったことないのだそう。
小さい頃から歌手の真似をすごいしてたんですよ。宇多田ヒカル、八神純子、YUKIにCHARAにMISIA……一人ひとりの口の動かし方、声の出し方、発音のしかた、息のつぎ方、歌い方の癖まで、その歌手を「完璧にコピーできた!」って自分の中で思うまで全曲練習するんです。外国語の発音も、正しいのは分からないけど、その歌手の発音のしかたならできます。坂本冬美さんの真似とかうまいですよ! でも、カラオケではぜんぜん高得点を取れないんですけどね。
もう自身の「普通ではない」身体に関連する作品も、セルフ・ポートレートも、しばらくは積極的に作るつもりはないという真理さん。最後に彼女はこのように付け足します。
服も、歩き方も、歌も、ぜんぶ真似してきた。人のつぎはぎだし、本当の私なんてないんですよ。でも、それで良いんじゃないかって。もしかしたら、つまらない大人になったってことなんですかね? いまはとにかく、思うままに作品を作りたいですね。